この長い長い物語をようやく読み終えた。
半年ほどかかっただろうか。
フランスを舞台とする作品の多いこの著者にとって、
フランス革命およびナポレオンを書くということは必然と言えるだろう。
舞台は1774年 ルイ16世即位から
1794年 ロベスピエール処刑までの20年間が描かれる。
ただし、第1巻では1774年から1789年までが描かれている。
つまり佐藤賢一は残り5年を描くのに17巻を費やしたということだ。
それだけ、フランス革命というのは濃厚で、迅速に世の中が動いていたのだ。
ところで、自分はこの物語を読む前フランス革命と言えば
民衆の蜂起→ルイ16世&マリー・アントワネット処刑→革命のリーダー:ロベスピエールも処刑→なんだかんだあってナポレオンの天下
と、このくらいしか知識がなかったのだが
いや、もう色んな人物が入り乱れて。
日本の明治維新と似ていると言えば似ている。
ただ明治維新は初期~中盤の血なまぐさが徐々に薄れていくのに対し
フランス革命は平和的・民主的な政治を追い求めて動いて行った結果
粛清の嵐となってしまう。
時代の違いなのか、民族の違いなのかわからないが後半は読むのが辛かった!
大まかな流れでいうと
ルイ16世即位後、経済が振るわないフランスは
王と貴族が対立し、凶作も重なって暴動が起きる。
王は貴族・僧侶・民衆からなる三部会を徴集。
民衆は貴族・僧侶に支配されていた時代から憲法による政治を要求。
王も了承し共和国となる。
政党のようなものができはじめ、貴族などは外国へ亡命するように。
ついには国王も亡命を試みるが失敗に終わる。
(ここで一気に国王権威が失墜する。これがなければ処刑されていなかったかもしれない・・・)
前半はこんな感じ。ちなみにこのころ「ギロチン」が発明される。
後半は政争、そして粛清へと移っていく。
読み終えて思ったことは
理想に燃え、清廉潔白であり真面目な政治家は危ない。
純粋なあまり不純物を排除してしまう。
やはり政治家というのは清濁併せ呑む器が必要なのかな。
ロベスピエールの最期はあまりにも哀しい。
しかし、作中のとある人物がいうように
「革命に情熱をささげることができた俺の人生は幸福だった」
というのも真実なのだろう。
とにかくボリュームはあるものの読み応えのあるシリーズである。
かつてベルサイユのばらにはまった人も(作者が解説書いてます)
自分のようにそうじゃない人も楽しめると思うので
読んでみよう!