中公新書 物語〇〇の歴史シリーズ ― シリーズなのか? ―

中公新書から出ている物語〇〇の歴史シリーズ。

最初の一冊が出てからかれこれ30年近くが経つ。

そもそもシリーズなのか大いに疑問ではあるのだが1年ほど前から発行順に読んでいる。 

 

とりあえず10冊ほど読んだので、個人的な5段階評価と共に振り返ってみようと思う。

 

物語韓国史(1989年)  ☆☆

https://www.amazon.co.jp/%E7%89%A9%E8%AA%9E%E9%9F%93%E5%9B%BD%E5%8F%B2-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%87%91-%E4%B8%A1%E5%9F%BA/dp/4121009258/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1496150702&sr=8-1&keywords=%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%80%80%E9%9F%93%E5%9B%BD%E5%8F%B2

のちに出版された他の国とは毛色の違う一冊。

他の本が各国の歴史の概略を叙述しているのに対し、こちらは神話・民話の類が中心。

そこから物語~史と名付けたのであろう。

朝鮮半島史の概略を読みたい方にはお勧めしない。

日本で言えば古事記日本書紀をかみくだいた様なものが大半を占める。

朝鮮半島の歴史は儒教の影響からか激動の時代が少ない気がする。

一つの王朝の歴史も長いし、他の国に攻めていくこともあまりない。

 

 

物語イタリアの歴史(1991) ☆☆☆☆☆

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この本がシリーズ化を決定づけたと思える傑作

ローマ帝国崩壊後から18世紀のイタリア統一まで、各時代を代表する10人の人物にスポットを当てた、物語〇〇の歴史の名にふさわしい一冊である。

イタリアの歴史はローマ帝国の崩壊後は都市国家が林立したり、スペインの支配下になるなどルネッサンス以外にはあまり世界史の表舞台に出てこない。

しかし、その言わばややマイナーな時代の10人の物語が秀逸な出来栄えだった。

新書でありながら、歴史小説に劣らぬ娯楽性を持ったお勧めの一冊。

 

物語アメリカの歴史(1991) ☆☆☆

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超大国であるアメリカの歴史をまとめた一冊。

ヨーロッパ人の入植後から始まるため、期間としては数百年ほど。

朝鮮半島やイタリアと比べるとだいぶ若い国である。

(原住民の歴史はいったん別にして)

こちらも独立戦争から南北戦争の間くらいまではやや影が薄いのだが、ヨーロッパとは違う文化を醸成していく様子がわかる。

また、この本が出版された当時の貧富の差や治安の悪さなどが垣間見える。

南部辺りはだいぶ良くなったように思えるが・・・

物語性はやや薄いか。

 

物語北欧の歴史(1993) ☆☆☆☆

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デンマーク、スウェデーン、ノルウェーフィンランドアイスランドの歴史をひとまとめに綴った一冊。

前二国の移り変わりが中心である。(後三国はのちに分離していったため、どうしても分量が少ない)

ドイツ、ナポレオン時代のフランス、ロシアなど大国の脅威と渡り合いながら国家を維持していく様子は現代のサッカーで強豪を苦しめる姿と重なる。(最近いまいちだが・・・)

各国の特徴があまりわからない方も多いと思うが、北欧とまとめられるのも納得の共通項や逆に独立した国家の背景などもよくわかる1冊だと思う。

やや駆け足ではあるが。

 

物語アイルランドの歴史(1994) ☆☆☆☆

 物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書) | 波多野 裕造 |本 | 通販 | Amazon

 5か国をまとめて描いた前作とは裏腹に、人口約400万人の小さな国であるアイルランドにスポットを絞った今作。

範囲も先史時代から現代までと満遍なく通史を描いている。

豊かな時代もあれば西欧最貧国の時代もあるが、通底に流れているのは隣国イギリスへの抵抗の精神。

スマートではないが、武骨にしぶとく闘い続けるアイリッシュ魂の源流を見た気がした。

 

まだ5冊あるが、長くなったので2回に分けることにする。