目次
1.石切山駅と定山渓鉄道
真駒内地区から石山地区へ進路を変える。
この辺りはその名の通りかつて石材の切出が多かったところ。
今も残る採石場は一つだけだが、石山緑地という公園が採石場の跡地に造られ、採石により切り立った岩肌とアートが並ぶ不思議な空間になっている。
ここでは札幌軟石という支笏カルデラ噴火時の溶結凝灰岩を切り出していた。
加工がしやすく、明治~昭和初期にかけて札幌や小樽の建築によく使われていた。
石の運送を引き受けていたのが定山渓鉄道。
1918年開業、1969年に廃線となる。
次に寄ったのはこの定山渓鉄道で唯一駅舎が残る旧石切山駅だ。
真駒内方面からななめに坂を下って国道230号へ向かう道沿いにある。
木造の白い壁に赤い屋根の可愛らしいデザイン。
基礎部分の石は札幌軟石らしい。
真駒内駅は現在の地下鉄真駒内駅よりももう少し南にあったらしい。
現在、この駅舎は会館として利用されている。
すぐ向かいには立派な石造りの建物がある。
これも札幌軟石で造られた旧郵便局の建物だそうだ。
この通りにはここ以外にも札幌軟石なのでは?というような石を利用している建物が散見されるので徒歩か自転車で通ったら見てみてほしい。
2.硬石山の硬石
ところで、石切山駅から積み出されていたのは札幌軟石だけではない。
豊平川の対岸に硬石山という山がある。
その名の通りこちらでは札幌硬石を掘り出している。ここはまだ現役だ。
この写真ではちょっとわかりにくいが採石によって山が削られているのが茶色くなっている部分。本当は設備も見えるのだが拡大しないとよくわからん。
中央部分の二つ並んだアーチは水道橋である。
ここから小さな蒸気機関で石切山駅まで硬石を運んでいたそうだが、現在では痕跡は全くわからない。
国土地理院地図の1960年代の航空写真。
まだ廃線前。線路は確認できるが硬石の軌道はすでになくなっているようだ。
3.石切山街道
駅跡の少し北、鋼板のすぐそばには札幌軟石で作られた石碑が建っている。
石切山とは石山の古い地名。
今昔マップより
1935年の地図では石切山という地名が確認できる。
石切山街道は地元の町内連合会が命名した愛称に近いもののようだ。
昭和初期にはまだ住宅街にはなっておらず、平岸街道と採石場へ至る道で構成された穴の川を囲む三角形のような道路のみ。
碑に記された沿革によると1994年に決定したらしい。