通産省といえば高度経済成長期の花形役所である。
今は経済産業省。
名前だけ聞くと、この省庁の影響を受けない日本人はいないでしょ、
と思われる。
ただ、許認可や補助金などの権限はあまりないらしく
広く浅いお付き合いがもっぱらのようだ。
一時世間を賑わせた村上ファンドのあの世彰さんもここの出身だそうである。
他にも、官庁から民間へ転出していった人は多いらしい。
色んな企業とかかわることが多く、優秀な人は声もかかるでしょう。
事務次官になれるのは同期でただ一人が原則なのだから。
さて、この本は自民党が野党に転落し
1980年代後半から1990年代半ばあたりのお話である。
いつもの高杉さんの小説のように
実話をもとにしたフィクションであり、
佐高信が解説であり、
すぐ読み終わる。
自民時代のエースだった官僚が
政権が変わり、彼をねたむ同僚と新しい大臣に
してやられるのか否かというお話である。
どんなに仕事ができる人でも
権力争いの波は避けて通れないのだ。
それにしても官僚ってのはよく働いている(はずだ)
その気になれば仕事は腐るほどあるし(腐らせてるのも結構あるだろう)
出世しないと手がけられない仕事っていうのも多分にあるだろう。
だから出世したいのはわかる。
ただこんなせこい手口でライバル追い落としても
しょうがないでしょうに。
こんなに優秀なエリートなのに、感情が勝っちゃうんだね。
組織の在り方が良くないのか
人間という生き物の限界なのか
小説自体はさらっと上澄みをすくったような感じだが
官僚がダメとか政治家がダメとかじゃなくて
どうしたら良いと思うか主人公に言わせて欲しかった。