正式には北海道拓殖銀行という名称だ。
1900年に開業された歴史のある銀行である。
当初は農地を担保に長期資金を融資する不動産金融として産声を上げた。
1955年には都市銀行となったものの、万年最下位の位置づけであった。
そんな拓銀がバブル崩壊と共に深手を負い、破綻へと向かうことになった道筋を北海道新聞編集部が取材し、文庫化されたものが本書である。
破綻の糸口となったのはやはりバブル期の不動産投資である。
数年前サミットで有名になった洞爺湖のウィンザーホテル、札幌市北区にあるリゾート施設ガトーキングダム(旧札幌テルメ)。
いずれも運営企業と共に拓銀も大きな損失を出した。
本州の都銀もバブルで痛手を負ったものの、都銀が危機を感じ手を引き出したころに拓銀が焦って投資を始める描写があった。
地方の哀しさ、景気の波が遅れてやってくるのだ。
最後は資金繰りが行き詰まり、大蔵省も手の打ちようがない、という状態になってしまう。
拓銀を吸収することとなった北洋銀行の頭取は検討する時間もほぼない中での決断となった。本当に大変な決断だったと思う。
拓銀の破綻に関しては、自業自得の面もあり、結果論だがある程度しかたないと思えるのだが、北海道の経済を発展させるという課題は全然解決していないどころか、悪化しているのだろうな。
人口は減り続け、再び原野に戻って行くのが北海道のあるべき姿なのだろうか。