ちなみに穂別駅は市街地にあった。
現在では公園となっている。
富内は鵡川の対岸を通る道道131号を通り、さらに分岐する道道610号沿いにある集落だ。
当初富内線はこの集落にある駅が終着点だったため、富内線と名付けられた。
その後日高町まで延長されるも、路線名は変わらず。
根室本線の金山駅と接続する計画はかなわないまま廃線となって久しいが、この富内駅跡は鉄道が通っていた時代の設備が整然と残されている。
という紹介を見て、行ってみることにした。
穂別市街から10分少々車を走らせる。
山間の小さな集落に入った。
少し進んで、左手に曲がると駅が見えてきた。
まだ休日の午前9時過ぎだからか、人気はない。
噂通り、駅はきれいに保存されている。
富内線の経歴。往時はどれだけ賑わっていたのかはわからないが、炭鉱の街とはまた少し違う顔を持っていたような気がする。
駅舎は鍵がかかっていたが、ホーム側に出ることは可能。
駅名標や線路はきれいに整備されている。
車両も保存に手が掛けられていることがわかる。
中に入れるか確認するのを忘れてしまった。
某サイトでは銀河鉄道をイメージした色に塗装されたのではとの推測があったが、果たして実物はどうだったのだろう。
銀河へと続く鉄道をイメージして線路が上に向かって途切れている。
この駅は文化財として登録されたそうだ。
宇宙飛行士の毛利衛さんもアドバイザーらしい。
宮沢賢治と所縁があったのかはわからない。しかし、過去の記憶をそのまま残しただけではなく、発展的にアレンジした試みとメンテナンスを怠っていない事は素晴らしいと思う。
夜に来るとまた違った雰囲気かもしれないが、この静かな場所によそ者が暗くなってから来るのは迷惑だろう。
かといって早朝もどーなのかと思うが、いずれにせよマナーを守って見学させてもらうのが良いだろう。
ちなみにこの先、道道610号は舗装が途中でダートに変わり、通行止め。
さらに途中で分岐した道道131号も路肩決壊のため2017年5月時点で通行止めが続いている。
かつての終着駅は鉄路からアスファルトの道に姿を変えても、終着点のままだった。
銀河へ続く線路は銀河しか行先がないから銀河へ向かうのだ。
ゆえに孤独で美しくて哀しく見えるのだろう。まさに宮沢賢治の世界である。