ヒューゴー賞読もうぜ ― 第1回~第5回 ―

ヒューゴー賞とはアメリカSF界の功労者であるヒューゴー・ガーンズバックにちなんだ文学賞。現存のSF・ファンタジー関連では最も古い歴史を持つ。

 

昨年、銀河ヒッチハイクガイドシリーズを読んでから10数年ぶりにSF熱が再燃中の私である。

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10数年前はアシモフハインラインヴォネガットの作品に熱中してほとんど読んだものの、それ以外はあまり読んでいない。

この際なので片っ端から読むことにしたが、そのとっかかりとしてヒューゴー賞受賞作品を順に読んでいくことに決めた。

 

とりあえず5冊読んだので、備忘録代わりにとどめておこうと思う。

1953年(第1回)受賞

ルフレッド・べスター著 「分解された男」 ☆☆☆☆

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24世紀、テレパシーにより人の心を透視できる能力者の出現によって犯罪は計画すら不可能な時代となった。しかし、世界最大の実業家が殺される事件が起きる。容疑者はライバル会社のベン・ライク。ニューヨーク市警の能力者パウエルは犯人を追い詰めるべく捜査を開始するが・・

栄えある第一回受賞作品。ややミステリの雰囲気を併せ持つストーリーだ。

著者の作品は「虎よ、虎よ!」が有名だがこちらの方が好み。

 

1954年は実施されず

1955年 (第2回)受賞

マーク・クリフトン&フランク・ライリイ著 「ボシイの時代」 ☆☆☆

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連名になっているが、実際はクリフトンがメインでライリイは原案に協力した程度らしい。作家になる前の職業は身上調査で20慢人以上の経歴を調べたという経験を持つ。

多くの短編を世に出したが、この作品の後ほどなくして死去。日本では知名度の低い作家である。

ストーリーはあらゆる問題の解決法をうみだすコンピューター・ボシイの開発に成功した2人の研究者。時の政府に睨まれ、助手のジョンとともにボシイをもって潜伏することになる。ところがジョンは実は超能力者で、彼にはボシイを使ったとある計画があった・・・

ヒューゴー賞史上最も地味な作品との声もあるこの作品。しかし筋立てはまあまあ面白いし、性善説にもとづいた古き良きSFといえるのではないだろうか。アマゾンならリーズナブルに手に入るようだし、時間のある人は読んでみてもいいだろう。

 

1956年(第3回)受賞

ロバート・A・ハインライン「ダブル・スター」 ☆☆☆☆☆

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主人公は売れない俳優サン・ロレンゾ。ある日いっぱいの安酒につられてとある頼みを引き受けてしまう。よくわからぬままに連れてこられたのは火星。ここで行方不明中の政治家を演じることになるのだが・・・

ヒューゴー賞最多受賞者のハインライン。彼の作品の中ではジュブナイルと大人向けの中間にあるような位置づけか。後期の作品とは違って深く考えずに純粋にストーリーを楽しむことに徹して読むことができる、極上のエンタメ。

 

1957年 実施されず。

 

1958年 (第4回)受賞

フリッツ・ライバー 「ビッグ・タイム」 ☆☆

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でました伝説のサンリオSF文庫。しかもこの作品は記念すべき第一冊目。

その「顔」にこの作品を持ってくるあたりがサンリオSF文庫のその後のマニアックな運命を暗示しているとしか思えない。あのキティちゃんのサンリオですよ。

裏表紙のあらすじからして他の出版社の2倍のスペースがありながら、ストーリーはほぼ意味不明。とりあえずスパイダー軍とスネーク軍が過去と未来を自在に行き来して歴史を変える改良戦争というものが行われている(らしい)。舞台はスパイダー軍の基地。そこで行われる兵士と看護婦(この訳も疑問だが)たちの会話がほぼメインの戯曲のような?作品。翻訳も翻訳だが、そもそもの原作も意味不明な作品なのだろう。

説明するのが難しい。気になった人はとにかく読んでください。ただし当然絶版です。

当時は文庫本が280円の時代だったのだねえ。

 

1959年 (第5回)受賞

ジェイムズ・ブリッシュ 「悪魔の星」 ☆☆☆

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これもまだ創元「推理」文庫時代の作品(当時はSF部門が分かれていなかった)

進化した爬虫類の子孫が暮らす惑星リチア。地球から4人の科学者が研究に訪れている。彼らの目的は人類の植民に適した星か調査すること。そのうちの一人生物学者のルイスサンチェスは神父でもあった。

宗教が存在しない、しかし人類よりも平和に暮らしているこの星は果たして・・・

第一部では4人の科学者がそれぞれの立場からこの星をどうするべきか、そして第二部では想定外の土産を連れて地球に戻った彼らとリチアの運命はどうなるか。

ラストはやや物悲しい、リアルタイムで冷戦が起こっている不安な時代らしい作品。