青山別邸 ― 群来太郎丼 ―

水族館で午前中を過ごし、昼食の時間に。

水族館内の食堂は激込みのため、近くで食事を取ることに。

 

ちょいと奮発して小樽の貴賓館、青山別邸へ向かった。

 

 

運よく、あまり混雑していない。

すぐにテーブル席に案内してもらった。

 

私が選んだのは群来太郎丼

群来(くき)とはニシンの群れが産卵のために沿岸に押し寄せ、産卵・放精によって海が真っ白になる様子のことである。

かつて、北海道の日本海側の繁栄の礎となったニシンだが、乱獲によってどうしようもないほどにその数は減少した。近年、保護活動が実って少しずつ漁獲量が上昇。

群来も10年ほど続けて確認されている。

 

前置きが長くなったが、群来太郎丼は小樽の新たなソウルフードとして、飲食店が力を入れているメニューである。

 

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ニシンのフィレを甘辛く、カラッと揚げたもの。

それにカズノコが添えられた、贅沢な一品。

 

ニシンは味が濃厚だが、小骨が多くて食べにくい魚である。

これは下処理がきちんとしてあるので、骨を気にせずガツガツと食べることが可能。

 

魚の揚げ物はくどくなりがちだが、味噌汁・漬物・そしてカズノコによって飽きることなく箸が進む進む。

 

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食事に気を取られていたが、窓からは歴史的価値の高い建物や庭園も鑑賞できる。
庭の花は少し時期が早いが、桜は綺麗に咲いていた。

 

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食事後、ふと隣の空席に目をやると、こんなものまで。

そう、ここは今を時めく漫画、ゴールデンカムイの舞台にもなった鰊御殿なのだ。

ここまで克明に劇中に出てきているとは知らなかった。

 

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こんな着物が飾ってあったり。

 

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当時のニシン漁や番屋を描いた絵巻なんかが展示されている。

ちなみにここはレストランの通路に過ぎず、有料ゾーンは建物の内部を見学することもできる。ゴールデンカムイの世界に浸りたい方は行くしかない。

 

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駐車場から見える離れ。

この中も有料見学ゾーンだ。

 

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なかにし礼が作詞した石狩挽歌の歌碑。

悲哀の歌に曇天の散り際桜が良く似合う。

 

青山別邸は国の登録有形文化財に指定されている。

鰊の網元が金に糸目をつけず、美を追求して建てられた北海道には珍しい建築物だ。

 

当時の鰊漁がいかに金の成る木であったかを量り知ることができる貴重な史料である。

といいながら、中は見学しないで食欲のみ満たして帰ったのが心残りである。

いつか、ここの価値を存分に味わえる人間になったらまた来よう。