昼飯を食べて、帰路に着く。
国道5号線を東へ向かい、市街地からは臨港線へ。
最後に寄り道するのは小樽港湾事務所の中にあるみなとの資料コーナーだ。
平日のみの開館ということでなかなか行く機会に恵まれなかったが、今回やっと達成。
以前は土木遺産カードを配布していたが、惜しいことに既に配布終了。
その代わり昨年冬から先人カードなるものの配布が始まっており、こちらを入手すること及び内部の見学を目論んでやって来たというわけだ。
駐車場は建物の裏側、逆Uの字型になっている道を通って進むことになる。
中に入ってインターホンを推し、カードが欲しい旨及び見学を希望。
職員さんがやってきてまずはカードをもらう。
ちなみに先人カードについてはこちらから
頂いたカードはこちら
清きエンジニアというのはちょっと意味が不明だが。
師は20代半ばにして札幌時計台や豊平橋の設計を行ったホイーラーなど。
国境を越えて活躍するお雇い外国人たちの姿に感銘を受け、後にキリスト教の洗礼も受けている。先ほどの「清き」というのはここから来ているのかな。
各地で活躍後、1893年(明治26年)から小樽港開港に向けての準備を行う。
冬の日本海の荒波を受ける岩壁を守るため、沖合に防波堤を建設。現在の北防波堤だ。
火山灰を織り交ぜた強固なコンクリートを開発し、さらに一部を斜めに設置することで今もその姿を残す非常に安定した日本初の長大なコンクリート製防波堤を造り上げた。
さて、カードを頂いた後、鍵を開けてもらって資料コーナーを見学。
10分程度のDVDがあるがどうしますかと聞かれ、見せていただくことに。
見学が終わったら再びインターホンで教えてくださいと言われ、一人でのんびりと拝見する。
DVDを見ると、上記のコンクリートブロック・防波堤・さらにコンクリートブロックの製造設備の構造がよくわかるので行かれる方は是非見せてもらった方が良いでしょう。
集合写真。すでに工事は終わった後か。
工事の工程写真。
この中に砂を入れてコンクリートの蓋をする。防波堤の基礎部分となるものだ。
このケーソン製作、さらにそのまま海に進水させる設備がこの建物のすぐそばにあるのだが、それはまた後ほど。
工事で活躍した重機など。
コンクリートは強度より密度、だそうだ。
潜水服とその他装備。
朝ドラ「あまちゃん」に出てきた南部もぐりの潜水服とそっくりだ。
コンクリートの耐久性を調べるブリケットという試体。
今もなお試験は続いている。
土木遺産認定プレート。
北防波堤と斜路式ケーソン製作ヤードが認定されている。
廣井氏はその後も日本各地の土木工事で活躍。
当然、指導への報償として金品を渡そうとするも、そんな予算があるなら工事費用に充てていただきたいと一切受け取らなかったという。
彼が亡くなった時、生涯の盟友であった内村鑑三が弔辞を述べた。その中に明治大正の日本は清きエンジニアを持ちましたという一節があり、先人カードのキャッチコピーにも採用されたというわけだ。
現在は運河公園に彼の銅像が建てられ、今もなお北防波堤を見守り続けている。
北防波堤の土木遺産カードは以前別の配布場所にて入手済み。
この時は凄さがイマイチわかってなかったが、今更になって一部は理解できたような。