目次
1.比布駅(ぴっぷえき)到着。
前回の記事と時系列が前後するが、南比布駅の位置がわからずにとりあえず着いてしまった比布駅。
まずはこの駅を先に見てまわることにした。
国道からは距離があるが、比布町の中心部に近く町の玄関口となる駅である。
立派な駅舎だが、ここも無人駅。
2016年に供用開始となった駅舎だ。
駅員は不在だが、カフェがテナントとして入っている。
駅前にある顔出しパネルは、かつて昭和の時代に故樹木希林が出演したピップエレキバンのCMでこの地が使われた際のものと思われる。
デザインといい、字面といい一見可愛らしい駅名標。
「ぷ」がかなりトリッキーな字体だが国鉄時代に使われていた字体らしい。
跨線橋も駅舎と統一されたデザイン。こういう駅はなかなかないと思う。
真新しくお洒落だが、それでいて重厚さも感じられるデザインだ。
小比布駅?物置らしい。
南比布駅の待合室より立派かもしれない。
あれはあれで余所者にとっては味があって良いのだが。
暗くなってしまったが、駅前にはお決まりの農業倉庫。
2.比布駅と近隣の歴史
1898年 永山駅ー蘭留駅間の開通の際に一般駅として開業。
原野であった現在の比布町に滋賀や香川、愛媛などからの入植が相次ぎ、本格的な開拓が始まったのが1895年なので街の発展を後押しするように鉄道が開通したと思われる。
当初は鷹栖村の一部であった。
1897年にまず愛別村が分村。1906年に比布村が発足する。
当初は終着駅であった蘭留駅が最初に発展するも、線路延伸後は比布駅周辺が近隣の木材・農産物の集積地として栄える。
現在も駅前付近は線路に平行な道路と国道に平行な道路が交差して複雑な街並みとなっている。
大正初期には愛別・上川方面から舟運や馬車軌道で運ばれてくる木材の集積地として大いに栄えたが、石北本線の開通と共にその役目を終えた。
石北本線の開業前には比布駅を分岐駅とするよう陳情もあったそうだ。旭川駅は用地が足りないことが明白であり、検討の結果新たに新旭川駅を設置することで決着した。
この影響で比布駅周辺の木工場は閉鎖に追い込まれる。
その後は1978年貨物廃止、1984年無人駅化と国鉄合理化の波をまともに受けてきたが、現在も米とイチゴが特産である小さな町の顔として存在感を示しているようだ。
1970年代後半の国土地理院地図の航空写真。
駅舎の旭川側や跨線橋の反対側に貨物用ストックヤードや専用線が見える。
木工場はなくなったが木材、さらに石炭が野積みされている。