道北をいっぱい巡った。 ― 雄信内駅 ―

目次

  

1.上雄信内駅(かみおのっぷないえき)跡と近隣の歴史

糠南駅から再び問寒別市街、そして国道40号線へと戻って次の駅を目指す。

この辺りは天塩川の北側が幌延町、南側が天塩町となっている。

やがて道道256号線と交差し右折、再び天塩川を渡って次の目的地雄信内駅を目指す。

かつては糠南駅の次に上雄信内駅が存在したが2001年廃止となった。

 

 

グーグルマップを見てもらえればわかるが、駅のあった場所に通じる道がない。

これは廃駅になったから道がなくなったわけではなく、駅が存在した時からこの様なのだ。牧場の私有地(あぜ道)を通らなくては出入りできない摩訶不思議な駅だったのである。

 

この地の開拓が始まったのは1903年。当時はタンタシャモナイと呼ばれていた。

当初は鉄道もなければ道路もなく、渡船が利用されていた。

終戦後再び開拓地となり、雄信内へと続く山道も拡幅された。

1956年仮乗降場として開業、1987年駅に昇格。

2001年廃止となった。

1960年代の国土地理院地図の航空写真。

 

民家から駅へと細い道のようなものが伸びているのが見える。

このころ線路付替工事が行われているようで、現在利用されている駅西側のトンネル入口付近が工事現場らしき状態に見える。

原因は下平鉄橋が雪崩、地滑り、大雨による土砂災害等が原因でたびたび崩落したことによるらしい。

 

なお旧線は現在町道に転換されているが橋の老朽化もあり、対応を検討中の模様。

 子こんな感じの細い橋。道幅は橋以外もこんな感じなので、時間の都合や行っても駅の名残に近づくことすらできないと思い、訪問は割愛した。

 

2.雄信内駅(おのっぷないえき)

というわけで雄信内駅へ向かう。

天塩川の対岸、天塩町にも雄信内(オノブナイ)という住所がある。

駅名がなぜ微妙に違う読み方となったのかはちょっと調べてみたがわからず。

さらに幌延町と天塩町にそれぞれ同じ読みの住所があるのは紛らわしかったためか、1959年に幌延町のこの地区は「雄興」という字名に変更となった。

 

そんな雄信内地区は天塩川を渡ってすぐのところにある。

 

 

かつては小学校もあった集落だったが、今は無人地帯となった。

上記の上雄信内駅付近にはまだ牧場が2軒ほどあるのと対照的である。

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木造の歴史を重ねた、まるで老兵のような佇まいの駅舎である。

自分が来た時にちょうど白髪のおじさんが出ていくところだった。

軽く挨拶をして駅に入る。

 

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実は交換機能を残している駅。

周囲は鬱蒼としている。

 

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稚内方面。

こちら側が貨物積卸場だった模様。

まだ線路が残っている。

 

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草木に飲み込まれているレール。まるで遺跡のようだ。


3.雄信内駅と近隣の歴史

1900年頃、対岸の天塩町雄信内に入地が始まる。

雄信内駅は1925年問寒別駅ー幌延駅開通時に一般駅として開業。

1932年対岸の天塩町との間に架橋された頃から人口が急増。駅前が市街地化する。

木材の集積地となり、木工場も整備された。

近くにあった雄信内小学校は1937年開校。

1953年に現在の駅舎に改築。50年を超える歴史を持つわけだ。

 

しかし戦後になると木材が枯渇。さらに1960年代頃から離農が相次ぐようになる。1982年に小学校が閉校。

1982年貨物廃止。1984年旅客業務無人化。1986年に運転業務も無人となり完全無人化となる。

 

 

雄信内駅周辺も廃屋が並ぶゴーストタウンとして一時話題になったらしい。

現在は学校も廃屋もほぼ姿を消してしまった。

 

1948年の国土地理院地図の航空写真

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赤い枠は駅裏、ストックヤード付近。木材が積まれているように見える。

青い枠は上雄信内方面とつながる細い道。鉄道の北側を並行して走っている。

現在はすっかり森に戻っているがグーグルマップを見るとこの道沿いに神社があったようだ。

 

 1960年代の国土地理院地図の航空写真。

 

駅前には建物が並んでいる。駅の貨物積卸場には木材が積まれているようにも見えるがどうだろう。

現在は森になっている駅裏も開けている。空き地になったのか、あるいは牧草地にでも使われていたのだろうか。

 

そんなところで駅に別れを告げてかつての集落の辺りを通ると、先ほどの紳士が写真を撮っていた。徒歩で移動しているようなので、もしよければ車に乗りますかと声をかける。しかしこれから上雄信内駅へ向かうのでと、丁重に断られた。

一瞬自分も同行しようかと迷ったが、邪魔をしてもよくないのでそうですかと言ってさよならをし、次の駅へと進む。

 

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