目次
1.鵡川駅
最後の目的地にして今回唯一の現役駅、鵡川駅を訪れる。
かつては日高本線と富内線の分岐駅で賑わっていた構内も1986年富内線廃線、2021年日高本線鵡川駅以東廃線となり、今は物寂しい無人の終着駅となった。
木造で、三角屋根が両端に二つある横長の駅舎。
むかわ交通ターミナルを併設している。
駅前は広いロータリー。「ようこそ むかわ町へ」 と書かれたモニュメント。
駅舎にはむかわ町名物のシシャモに纏わるアイヌの伝説が記されていた。
柳の葉が神様から命を与えられてシシャモになったというお話。
ホームは元々2面3線構造だったが、富内線廃止時に3番線は撤去された。
さらに、駅舎側1番線も様似方面の廃線に伴って使用停止。
旅客に使われているのは2番線のみ。その他に車庫へと通じる側線がある。
2番線へは構内踏切を通って進む。
物置の向こうには側線の車止め。
2.鵡川駅と近隣の歴史
旧鵡川町域に和人の入地が始まったのは1872年頃。当時は鹿猟が盛んで、渡船の官営化も行われた。
1892年駅逓設置。1893年には国道が開通し、現在の駅付近に市街地ができ始める。
その2年後には戸長役場が設置。
1906年王子製紙が鵡川出張所を設立。鵡川上流から流送される木材を河口付近に設置した網場で陸揚げを始める。
1909年王子製紙苫小牧工場で使用する木材輸送を目的とする専用馬車鉄道を苫小牧~鵡川間に敷設。翌年蒸気機関車に転換。
1913年苫小牧軽便鉄道を設立。苫小牧~佐瑠太駅間が開業。鵡川駅も新設された。
1923年日高拓殖鉄道が開業。佐瑠太駅以東の輸送を担う。
1927年苫小牧軽便鉄道・日高拓殖鉄道が国有化。併せて日高線となる。
1929~1931年にかけて軌間762mmから1067mmに改軌。
1929年鵡川の流送が穂別の土場までとなる。河口での陸揚げがなくなり鵡川駅からの木材発送がなくなる。
1943年富内線の当駅~豊城駅の連絡船が開通。分岐駅となる。
1960年代の国土地理院地図の航空写真。
駅西には現在と同じく農業倉庫が並んでいる。
駅裏東方面には何かの工場。駅敷地にも積まれ、搬送されていたようにも思えるが定かではない。
駅西には富内線が分岐していくのが見える。
1977年貨物取扱廃止。
1987年現駅舎竣工。
1998年窓口業務直営化。
2006年旅客業務再び無人・簡易委託化。2009年完全無人化。
2015年高波被害により様似方面の運行休止。
2021年様似方面廃線により終着駅となった。