目次
1.京極発電所
引き続き、湧学館で展示を見学。
京極発電所について

2014年より稼働している北海道で初の純揚水式発電所。
純揚水式発電とは、自然の川の流れを利用せず、上池と下池の間で水を行き来させて発電させる水力発電。
一般的には需要の多い昼間に上池から下池へ水を送り、発電。
電機の余っている夜間にポンプを使って上池に水を戻すという仕組み。
川の水を利用したり、発電しながら自然流入もある混合揚水式もあるが、京極発電所は純揚水式で需要ピークのために水の形で電気を貯めておくことが主目的となる。
北海道は雨・雪解け水が豊富なため、通常のダムや流れ込み式水力発電が主だった。
ただ、近年は風力や太陽光発電で電気の余剰が発生することが問題となり、純揚水式発電を重要な調整役と見なすようになった。
揚水式発電の場合、かつては夜間も一定量を出力する火力や原子力の余剰電力で揚水していた。京極発電所も2002年の時点では泊原発の補助という位置づけだった。
しかし、建設中に東日本大震災による泊原発の停止もあり、近年は昼間にピークとなる太陽光の余剰や需要が低い時間帯に発生した風力の余剰で揚水し、太陽光が急減する夕方から夜間にかけて発電開始するなど柔軟に対応している。
京極発電所は数分程度で発電が可能なこともより重要性を高めている。
京極ダムと調整池の位置関係

残念ながら京極ダムは関係者以外立ち入り禁止。
調整池はダムよりも標高が約400m高い場所に設置され、放水路トンネルでつながっている。
地下には発電設備やポンプが設置されている。
重要なのは水車ランナとよばれる部分。

発電するときは、上から落ちてきた水がランナを回す→ランナが発電電動機を回して電気が発生する。
揚水するときは、電気で発電電動機を回す→ランナが回転しポンプの役割→水を上へ押し上げる。ポンプは空気を吸うと揚水できないので、運転開始前に周辺を満水にして空気を抜いてからランナを回転させている。
二つの機能を一つのランナで両立させるため、羽は分厚く複雑にねじれている。
ねじれによって、水が当たる面積が増え効率よく回ったり、押し上げることができる。
2.ダムカード
湧学館の一階ではダムカードを配布中。
下部調整池はロックフィル形式の京極ダムで貯水。


通常のロックフィルダムは、岩石を一定の層(リフト)に敷き、ローラーで転圧→何百層も繰り返すという工法を行う。
京極ダムは本工事の前に実際の施工に近い規模で
- 何cmの厚さで敷けば一番密になるか
- ローラーを何往復すればよいか
- 水をまいた方が締まるか
- どの程度沈下するか
をあらかじめ実験した。
また、ドラムの中に偏心した錘が入っている振動ローラーを使用
- 重さで押す
- 振動で石同士の隙間を動かす
- 石がより安定した位置に入り込む
↓
石と石の間の空隙を減らして、
- 密度を高くする
- 変形を小さくする
- 水圧に耐える
放水・揚水を繰り返す京極ダムの堤体には水圧変化が何度もかかるため、
より緻密に工事を行ったようだ。
上部調整池は楕円上の貯水池。バックの羊蹄山が素晴らしい。

遮水壁には水工フォームドアスファルト混合物を使用

ダムの遮水壁に使われるアスファルトは通常のアスファルトよりも水密性・ひび割れに追従する柔軟性・水に浸かっても劣化に強いことが求められる。
フォームド(泡状にした・発砲させた)のアスファルトとは、高温の状態で少量の水を混ぜる→水が蒸発するときに気泡が生じ、発泡する。
その結果、粘度が減り、骨材と混じりやすくなり、低い温度でも施工しやすくなる。完成後には泡が消え水も抜けている。
アスファルトはコンクリートより柔らかいため、地震や気温差によるひび割れに強いメリットがある。
北海道のような寒冷地で水圧変動が頻繁な上部調整池に適した選択だそうだ。


























