ヒュー・ロフティング「ささやき貝の秘密」 岩波少年文庫
ドリトル先生シリーズの作者、ロフティングの隠れた名作ファンタジー。
近代が舞台の科学的ファンタジー?のドリトル先生シリーズと違って、舞台は中世。
ファンタジーの王道をゆく構成となっている。
双子の兄妹ジャイルズとアンは寝室から不思議なリンゴ売りのおばあさん、アグネスを眺めていた。
街の大人たちはおばあさんのことを魔女だというが、彼らにはとてもそう思えない。
ある日、兄妹の父親が困っていることを知った二人はアグネスに助けを求めることに。
おばあさんが二人にくれたのは「ささやき貝」。
他人のうわさ話を聞くことができるのだ。これをつかって父親のピンチを救うことができるか?
二人の友人、足の悪い少年ルカも加わって計画を立てるが・・・
ここまでが第一部
第二部は10年後、青年になって国王に仕えているジャイルズとルカ。
伯爵令嬢の美しいバーバラを巡ってある問題が・・・
ささやき貝の助けを得てこの困難を乗り越えられるか。
ドリトル先生シリーズと違って、アグネスやささやき貝の不思議な力はただ不思議なものとして扱われ、明確な回答はない。
ドリトル先生シリーズを書くことに疲れていた時期にこの作品を書いたようだ。
こういう作品も書いてみたかったのかな。
ただ登場人物はドリトル先生シリーズを彷彿とさせるものがあり、ロフティングの人柄が透けて見える気がする。
皆、親切なんだよね。
ぜひ子供たちに読んでもらいたいと思う。