地球絶景紀行 ― フレーザー川 ―

今回の地球絶景紀行はカナダ西部を旅する。

 

まずはカナダについて

wikipedia:カナダ

 

人口は約3400万人。面積は世界二位である。

 

太平洋岸のバンクーバーから出発。

ブリティッシュコロンビア州に位置し、林業と観光が盛んである。

 バンクーバーから北東へ川をさかのぼっていく。

 

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人の気配のない所も多い。

 

この旅の目的はサケの大遡上である。

河口から約500kmの地点まで戻ってくる紅鮭の大群で川は真っ赤になる。

 

北海道にはヒメマスというサケの仲間がいるが、これは海へ下りず、湖沼で一生を過ごすベニザケのことである。

日本国内ではほとんど漁獲高がなく、店頭に並んでいるのはロシアやアラスカ産である。

 

日本で多いのはまずシロサケ(アキアジともいう)である。

国内に広く分布し、稚魚の放流も各地で行われている。

回帰率はだいたい5%くらいのようだ。

サケが戻ってくる川というのはやはり印象が良いだろう。

清流であり、魚道を確保したダムがあったりと、川そのものが観光資源になりうると思う。

 

 

中公新書 物語〇〇の歴史シリーズ ― 物語なのか ―

前回に引き続き、中公新書の物語〇〇の歴史シリーズについて

 

物語中国の歴史 (1997) ☆☆☆☆

 

物語 中国の歴史―文明史的序説 (中公新書)

物語 中国の歴史―文明史的序説 (中公新書)

 

 

伝説の夏王朝の時代から清朝滅亡までの数千年を290ページ弱にまとめた無謀な一冊。

薄っぺらい内容に終わるかと思いきや、広く浅くわかりやすく各時代のポイントを押さえ、非常にわかりやすい本だった。

世界史の教科書で途切れ途切れに出てくる王朝の勃興~繁栄期だけではなく特色のない時代や衰退期も割愛せず、次の王朝が現れる背景を知ることができた。

 

物語フィリピンの歴史 (1997) ☆☆

 

物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書)

物語 フィリピンの歴史―「盗まれた楽園」と抵抗の500年 (中公新書)

 

 

中国の歴史とは対照的に、こちらはスペインの支配下になってからの数百年がメイン。

それまでは文字の無い文化が続き、ページを費やすのが難しかったようだ。

群島国家でもあり、隣国との関わりも薄く前半はスペインの支配の著述が中心。

中盤からは西欧への抵抗の時代から近代へと変わるが、なかなかすっきりする革命にも至らず、若干読むのがつらい内容であった。

とはいえ、フィリピンの歴史について知りたい方はまず読むべき本であるだろう。

 

物語ヴェトナムの歴史 (1997) ☆☆☆☆

 

物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)

物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)

 

 

フィリピンと同じく東南アジアの国であるが、こちらの歴史はやはり違う。

中国と隣接していることもあり、良くも悪くも古くから影響が大きい。

一方では頭を下げつつも、中国という国に飲み込まれることはなく逆に南方へ勢力を伸ばす機会をうかがう強かな国である。

近代となりフランス、日本、アメリカなどと渡り合うことになる。勝ちはせずとも敗北はしないのはこの国が常に選んできた道であり、現代においてそれを最も色濃く投影したのがホ・チ・ミンの半生であるだろう。

 

物語ドイツの歴史 (1998) ☆☆☆

 

物語 ドイツの歴史―ドイツ的とはなにか (中公新書)

物語 ドイツの歴史―ドイツ的とはなにか (中公新書)

 

 

 

ヨーロッパの大国、ドイツ。地理的にもヨーロッパの中心であり、キープレイヤーであることが多かった。しかし、ドイツとして国家が成立していた期間はあまり長くない。

神聖ローマ帝国後は都市国家の印象が強く、ドイツの歴史としてみるにはなかなか厳しいかもしれない。

隣国との関係もややこしく、もう少し地域を絞って数冊に分けた方がわかりやすそうである。

ただし、ドイツという国家が存在感を増していくのはこれからの気もする。

EUの仕組みが一定の成功をおさめるのか、失敗に終わるのかはドイツの両肩にかかっているのではないだろうか。

 

物語ラテンアメリカの歴史 (1998) ☆☆☆☆

 

物語ラテン・アメリカの歴史―未来の大陸 (中公新書)

物語ラテン・アメリカの歴史―未来の大陸 (中公新書)

 

 

ドイツでも広すぎるのにラテンアメリカというと広すぎやしないかとなるのだが、こちらはちょうど良い範囲であった。

話は考古学を超えて地球の草創期から始まる。

マヤやインカ、アステカなどの文明の隆盛とそれを破壊したスペイン人の侵入。

やがて人種は多様化し、本国の影響力は衰えていく。

アジアやアフリカの植民地と比べると、独立は早く、スムーズであったように思えた。

日本とはかけ離れた文化であり、遠い国なのだなあと実感させられる。

世界的に見ても独特な地域であると思う。治安はちと心配だが旅してみたい地域である。

中公新書 物語〇〇の歴史シリーズ ― シリーズなのか? ―

中公新書から出ている物語〇〇の歴史シリーズ。

最初の一冊が出てからかれこれ30年近くが経つ。

そもそもシリーズなのか大いに疑問ではあるのだが1年ほど前から発行順に読んでいる。 

 

とりあえず10冊ほど読んだので、個人的な5段階評価と共に振り返ってみようと思う。

 

物語韓国史(1989年)  ☆☆

 

 

物語韓国史 (中公新書)

物語韓国史 (中公新書)

 

 

のちに出版された他の国とは毛色の違う一冊。

他の本が各国の歴史の概略を叙述しているのに対し、こちらは神話・民話の類が中心。

そこから物語~史と名付けたのであろう。

朝鮮半島史の概略を読みたい方にはお勧めしない。

日本で言えば古事記日本書紀をかみくだいた様なものが大半を占める。

朝鮮半島の歴史は儒教の影響からか激動の時代が少ない気がする。

一つの王朝の歴史も長いし、他の国に攻めていくこともあまりない。

 

 

物語イタリアの歴史(1991) ☆☆☆☆☆

 

物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)

物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)

 

 

この本がシリーズ化を決定づけたと思える傑作

ローマ帝国崩壊後から18世紀のイタリア統一まで、各時代を代表する10人の人物にスポットを当てた、物語〇〇の歴史の名にふさわしい一冊である。

イタリアの歴史はローマ帝国の崩壊後は都市国家が林立したり、スペインの支配下になるなどルネッサンス以外にはあまり世界史の表舞台に出てこない。

しかし、その言わばややマイナーな時代の10人の物語が秀逸な出来栄えだった。

新書でありながら、歴史小説に劣らぬ娯楽性を持ったお勧めの一冊。

 

物語アメリカの歴史(1991) ☆☆☆

 

 

物語アメリカの歴史―超大国の行方 (中公新書)

物語アメリカの歴史―超大国の行方 (中公新書)

 

 

超大国であるアメリカの歴史をまとめた一冊。

ヨーロッパ人の入植後から始まるため、期間としては数百年ほど。

朝鮮半島やイタリアと比べるとだいぶ若い国である。

(原住民の歴史はいったん別にして)

こちらも独立戦争から南北戦争の間くらいまではやや影が薄いのだが、ヨーロッパとは違う文化を醸成していく様子がわかる。

また、この本が出版された当時の貧富の差や治安の悪さなどが垣間見える。

南部辺りはだいぶ良くなったように思えるが・・・

物語性はやや薄いか。

 

物語北欧の歴史(1993) ☆☆☆☆

 

物語 北欧の歴史―モデル国家の生成 (中公新書)

物語 北欧の歴史―モデル国家の生成 (中公新書)

 

 

デンマーク、スウェデーン、ノルウェーフィンランドアイスランドの歴史をひとまとめに綴った一冊。

前二国の移り変わりが中心である。(後三国はのちに分離していったため、どうしても分量が少ない)

ドイツ、ナポレオン時代のフランス、ロシアなど大国の脅威と渡り合いながら国家を維持していく様子は現代のサッカーで強豪を苦しめる姿と重なる。(最近いまいちだが・・・)

各国の特徴があまりわからない方も多いと思うが、北欧とまとめられるのも納得の共通項や逆に独立した国家の背景などもよくわかる1冊だと思う。

やや駆け足ではあるが。

 

物語アイルランドの歴史(1994) ☆☆☆☆

 

 

物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書)

物語アイルランドの歴史―欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書)

 

 

 5か国をまとめて描いた前作とは裏腹に、人口約400万人の小さな国であるアイルランドにスポットを絞った今作。

範囲も先史時代から現代までと満遍なく通史を描いている。

豊かな時代もあれば西欧最貧国の時代もあるが、通底に流れているのは隣国イギリスへの抵抗の精神。

スマートではないが、武骨にしぶとく闘い続けるアイリッシュ魂の源流を見た気がした。

 

まだ5冊あるが、長くなったので2回に分けることにする。

 

夕鉄のあった風景 ― 南幌とは南幌向です ―

続いて向かったのは南幌町(なんぽろちょう)

 

この町の中心部にも夕鉄が通っていた。

 

現在はバスターミナルにもなっている。

 

ここも鉄道こそ通っていないものの、栗山駅同様、いやそれ以上に複合施設となっている。さらに、上階には展望台もあるのだ。

 

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展望台から見た街並み

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天気がもう少し良ければいいかな。

 

この建物の道路の反対側に夕鉄の駅跡が記されている。

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ところどころ文字が消えているが、「南幌駅」ではなく「南幌向駅」(みなみほろむいえき)であったことがわかる。

 

現在、幌向というのは岩見沢市の南部にある地名を指すが、かつてはかなりの広範囲を幌向原野と呼んでいたらしい。ここは幌向と呼ばれていた地域の南側だったようだ。

 

1962年に南幌町として正式に成立したようだが、夕鉄が通ったのはそれ以前だったのだろうか。

この辺りになると完全に札幌のベッドタウンである。

 

また、隣の旧晩翠駅(ばんすいえき)付近は地の利を生かした工業団地となっている。

ここは南幌の市街地であり体育館なども隣接していて町の中心部である。

駅跡であったことを知る人は少ないかもしれないが、そういうことも影響しているのか廃線跡の寂しさは感じられなかった。

 

ところで南幌町には鉄道の他に運河もあった。というか運河は現役である。

南幌温泉のすぐ裏手に遊水池とふきの塔という展望台がある。

 打運河はここから長沼方面へ夕鉄(現在は農道)の通っていた道の近くを貫いている。

 

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ふきの塔展望台。無料で入れるが天気が悪かったのでパスした。

 

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遊水池付近は小さな公園になっていた。

 

かつて泥炭地だったこの地には頑丈な道路を作ることができず、運河が交通の主流であった時代もあった。

現在ものを運ぶ機能は失ったものの、排水機能は立派に残っているそうだ。

フットパスコースも整備されているようだ。温泉がすぐそばにあるので汗をかいたらひとっ風呂浴びてちょうどいいだろう。

夕鉄のあった風景 ― 栗山駅は現役です ―

昼近くなり、栗山町の市街地に向かう。

どこかで食事をとろうかと思ったが、とりあえず栗山駅に行ってみた。

 

 

 

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駅はバスターミナルにもなっている。

建物は立派だが、町の施設を併設しており駅自体はそれほど広くない。

 

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駅のすぐ横にはレンガ造りのJAの建物。

夕鉄で江別から運ばれたレンガが使われたのだろうか。

 

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室蘭本線の時刻表。

かつては岩見沢ー苫小牧間も石炭の輸送で賑わっていただろうが、今はローカル線である。

ただ、栗山駅前はシャッターの閉まっている店も少なく、道内の市町村では活気のある方だと思う。

バスターミナルがあることも関係しているかもしれない。

駅前の駐輪場は自転車でいっぱいだった。

 

かつては室蘭本線と夕鉄の接続する大きな駅であり、構内も広いままである。

 

飲食スペースでうどんをいただく。

こういった施設の飲食店で日曜も営業しているのは珍しいのではないだろうか。

 

この後、北長沼駅跡を探索するも、痕跡はわからず。

 次の場所へ向かった。