目次
1.厚賀駅跡
清畠駅より先、国道と日高本線は何度か交差しながら進んで行く。
厚賀の集落入口で国道から外れ、海側の道に入り漁業集落の中を通っていく。
富浜・門別と共に第1種漁港が整備されている。
2018年には高速道路の日高厚賀ICも開通。
厚賀駅は集落の中心部にあった。
ここは渋い木造駅舎。駅名は外されてしまったが、郵便ポストは健在。
緑の屋根に黒ずんだ木の壁、半円のような窓が趣を感じる。
見切れているが電話ボックスも置かれている。田舎の中心駅らしい構造。
駅前は大きめの広場になっている。
丸い花壇の中に競走馬の描かれたモニュメントと大きな石があり、駅の前には大きな木も植えられている。
ザ・駅前広場である。
駅前の東側の様子。
タクシー会社と駅前旅館も健在。
2.厚賀駅と近隣の歴史
厚賀地区に定住者が現れるのは1890年頃。
やがて現在の道道208号沿線付近に駅逓なども設置され市街化していく。
大正期には厚別川における木材の流送で栄えた。
当時は川の名をとって厚別という地名であった。
厚賀という地名は厚別川と西隣の賀張地区を合わせて取られたらしい。
駅が設置されたのが、厚別と賀張の境界付近のため、二つの地名を合わせたそうな。
やがて駅前も市街化し、厚賀という名が地名化し厚別は川の名を残して消滅した。
日高拓殖鉄道の佐瑠太駅~当駅の延伸に伴い一般駅として開業。
2年後の1926年には当駅~静内駅間が延伸。
1927年路線が国有化され日高線に改称。
1943年には日高本線に改称。
1977年貨物取扱廃止。同時に旅客業務の無人化。
後に交換設備廃止に伴って完全無人化となる。
1953年の国土地理院地図の航空写真。
この頃は駅前を走る道が国道だったと思われる。
道路横はすぐ砂浜。現在は住宅が並んでいる辺りは土地を改良したのか。
陸地自体も増えているようにも思えるがどうだろう。
駅裏は大きな施設、おそらく木工場。ここから木材を搬出していたのだろう。
静内方面から側線も伸びているようだ。
駅の両横にも貨物積卸場所らしきスペースがある。
厚賀駅からは木材の他に水産物、砂利、競走馬なども積出があったそうだ。
1989年に駅舎改築。
2015年当駅~大狩部駅間の高波被害による路盤流出によって長期運休。
2021年3月をもって正式に廃駅となった。
この厚賀駅までは利用を続ける案もあったようだが、残念ながら鵡川駅までとなった。