目次
1.静狩駅
礼文駅から再び国道に出て山中の峠道を通って西へ進む。
豊浦町と黒松内町の境目である礼文華峠、黒松内町と長万部町の境目である静狩峠を通りぬけると左手に太平洋が広がる。
まっすぐな坂道をおりると道は海岸と平行に進んで行く。
ここで進路を変えて東に進むと静狩の集落に到着。
集落の入り口近くに静狩駅がある。
木造の重厚な駅舎。
赤い屋根、下見張りの壁、風除室と小屋根、樹々と草花、舗装されていない駅前広場。
明治~昭和前期の駅らしい風貌だ。
駅前は海へ向かう道。
もう少し東へ向かうと郵便局・神社・漁港など集落の中心だ。
1983年発行の「北海道690駅」では白壁で今よりも新しい雰囲気。
いつの頃か建て替えられたらしい。
小幌駅方面。平坦な海岸線が終わり断崖が始まる。側線が何本か見えている。
長万部方面。保線用車両が留置され、施設も設置されている。
島式ホームの駅舎側にある中線は2023年3月に廃止。
本線に接続するポイントも撤去された。
駅内にあった風景画。小幌海岸が描かれている。
町民の方々による駅舎整備へのお礼として長万部駅長から贈られたらしい。
絵画に描かれていたのはこの黄色い花だろうか。
峠を下りてきたところにある駐車場の目の前、一面に広がっていた。
2.静狩駅と近隣の歴史
静狩の集落から国道を長万部方面へ進むと、道の北側にある静狩湿原。
潟湖から泥炭地へと変化し、ミズゴケが全体を覆って現在のような湿原となった。
貴重な生態系を評価され大正時代に天然記念物に指定されるも、食糧問題や戦後引き上げなどの影響で天然記念物を解除されてしまい、入植地となった。
当初は998haあった湿原も今はわずか34haになってしまったが、池塘や食虫植物も確認できる鳥と植物の楽園である。最近はクマも出没注意らしい。
湿原から少し北には静狩貝塚の遺跡。
縄文時代後期の遺跡。当時はこの辺りが海岸線だったのだ。
こちらも大規模な遺跡だったようだが、石灰岩の採掘などで今は看板が残るのみ。
鉄道の歴史は1923年長万部駅~当駅間開通に伴い一般駅として開業。
前後して駅北部にある静狩金山の採掘が始まる。
輸送は鉄道ではなく、静狩浜桟橋からの開運がメインだったようだ。
第二次世界大戦が勃発すると金山は需要が減少し、1943年閉山となった。
1972年には貨物取扱廃止。
1986年無人化。
3.旭浜駅
静狩駅の東隣には旭浜駅があった。
1943年信号場として整備、1969年に仮乗降場・1987年に旅客駅に昇格。
しかし利用者減少で2006年廃止、その年のうちに坑内設備が撤去された。
駅があったのはこの辺りらしい。
立入禁止の札が建てられており、ホームなどは解体済み。
道路わきの小さな建物は待合室だったらしいが定かではない。