夏のドライブ ― 蕨岱駅跡 ―

目次

 

1.蕨岱駅

国道5号線を北上し、今回最後の目的地を目指す。

長万部町と黒松内町の境目にあるこの場所にはかつて函館本線の駅があった。

 

函館本線蕨岱駅跡。

わらびたいという変わった名前は国鉄時代に50音順で一番最後の駅だった。

駅の付近は森と牧場。数少ない人家が点在している。

 

駅舎の痕跡は殆ど何もない。

草叢に囲まれた砂利が、駅があった「らしい」ことを教えてくれる。

 

ホームのアスファルトはまだ無事。

立入禁止の柵の手前から様子を見てみよう。

 

長万部方面。草深い林に挟まれた線路が進んで行く。

 

ストリートビューでは、まだ現役時代の貨車駅が確認できる。

 

薄緑の車体に中央部を黄色いラインが貫いている。

カラフルで明るい印象の駅だったのだ。

 

国道の反対側には神社の鳥居。

蕨岱稲荷神社というらしい。

元々坂の上に本殿があったが、住民の高齢化などでこの鳥居の先に新たに設置したそうだ。という記事をネットで見た。

数年前の記事だったが、多分今も変わらないのではないだろうか。

 

2.蕨岱駅と近隣の歴史

1904年二股駅~黒松内駅の間に一般駅として開業。

森駅~熱郛駅間は前年に北海道鉄道の路線として開業していた。

蕨岱という地名はアイヌ語のワルンピフル(ワラビの丘)を意訳したものらしい。

 

今の姿からは小さな駅だったようにしか思えないが、かつては北海道を代表する大動脈だった時期もあるこの路線。

長大編成の蒸気機関も多く走っていたので、ホームは150mを超える長さ。

今も草が茂っていなければ確認できるだろう。

 

当初利用されていた木造駅舎の写真はこちらから。

www.htb.co.jp

 

近隣の山で採れた根曲竹を出荷していたらしい。

 

1970年代の国土地理院地図の航空写真

 

この頃は2面2線のホーム構造。構内踏切で横断していた。

何となく貨物線らしい線路も見える気がする。

現在、線路は剥がされているがそのスペースは確認できるだろう。

駅舎以外にも保線関係などだろうか、幾つか建物が並んでいる。

 

1975年に貨物取扱廃止。

現在、駅の南西には酪農を営む家が数軒あるようだが、ここには今も蕨岱小学校の建物が残っている。

 

 

すてきな木造校舎。

 

明治の後半、1904年開校。鉄道駅の開業と同年である。

平成中頃、2001年に廃校となった。

近隣の人々によって今も大切に保存されているそうだ。

 

蕨岱駅は1986年に交換設備を廃止し、無人化。

翌年旧駅舎を撤去し、貨車駅に。

そして2017年に廃駅となった。

 

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