チバユウスケが亡くなった。
今年の4月に病気であることが発表され、活動休止。
どうしているかなあと思っていたが、旅立ってしまった。
インフルエンザで学校を休んでいる子供と一緒に居間でテレビを見ていたら、スマホの画面にニュース速報。
いつもは気にも留めないが、チバユウスケという文字列が目に入り、嫌な予感がしながら記事を見てみると、現実と認めたくない訃報のニュースだった。
亡くなったのは11月26日。
穏やかに息を引き取ったという。
家族とメンバーで静かに葬儀を済ませてからの発表だった。
最初にチバユウスケを知ったのはたぶん中学生の時。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT時代だった。
当時は色んな音楽番組でランキングが発表されていた。
CDの売上とかカラオケやレンタルを加味したりとか、ラジオだとリクエストとか。
ラジオだとランキング入りのうちの何曲かはそれなりの長さで放送してくれる。最初はそれを聞いて新しい曲を知ったものだったが、やがて好みが出てくると興味のない曲が多いランキングは聞くのがつまらなくなってくる。
当時全盛期だった小室ファミリーに興味のなかった自分は、民放の流行曲メインのラジオ番組のランキングをあまり好まなかった。
そんなある日ふと新聞で見かけたNHKFMのミュージックスクエア。
月~金まで放送していたこの番組。月~木はゲストが来て、金曜日は今週のランキングという形式だった。
始めて聴いたその日のランキングは小室ファミリーの曲が全然ランクインしておらず、発売からしばらく時間が経ってCD売上のランキングではとっくに消えていたミスチル・スピッツ・イエモンの曲が上位に君臨していた。
その他も半分くらいは知らないバンドの曲。すっかり夢中になって毎週楽しみに聞くようになった。エレカシを知ったのもこの番組だった。
そんなふうにして出会った曲の一つがミッシェルのキャンディハウスだった。
当時は激しいロックをあまり聞いたことがなく、好きになったわけではなかったが印象的なイントロをいつまでも覚えていた。
その後に出たリリィははっきり好きだといえる曲。ここから興味を持つようになった。
とはいっても当時はインターネットがあるわけでもないし、CDを買うほど好きになったわけでもない。ラジオでかかっていた時にテープに録音したような気がするが定かではない。
それから1年くらいたってバードメンでHEYHEYHEYに出演。
この時に初めて動いてしゃべっている姿を見た。
ぶっきらぼうで言葉数が少なく、テレビに慣れていない様子。だけど黒いスーツでスタイルの良いメンバーが激しく演奏している姿は格好良いと思った。
高校生になって学校の近くのCDレンタルの店に通うようになりミッシェルのCDを借りるようになった(結局CDを買ったことはない・・・)
武骨なメロディーとしゃがれ声。意味はよく分からないがなんとなくカラッとして破天荒だけど少し優しさが垣間見えるような歌詞。
ストーリーはないが、ビジュアルは浮かびやすくとりとめのない写真集のような歌詞が多かった気がする。
そして伝説のミュージックステーション。
最近YouTubeで見てしまったが、アイドルや流行の歌手がメインのようなあの番組であれだけの空気を作ったミッシェルと、トラブルの中で考える暇もなく準備したであろうスタッフ。
社会人としてこんな想定外の事態に立ち会ってしまったら、フリーズせずに動けるだろうか?
タンバリンを叩くチバユウスケの姿を20年ぶりに見て、この人はもうこの世にいなくなってしまったのだと考えたら胸が締め付けられた。
改めて世の中にその名と実力を知らしめて絶頂期かと思われた矢先の解散。
最後の出演となったミュージックステーションで解散についてほとんど語ろうとしないチバユウスケの姿は寂しそうだった。
ミッシェルの解散後チバユウスケの活動はROSSOに移る。
盟友のブランキ―ジェットシティのベーシストだった照井氏と一緒にやることになった。このバンドのことはほとんど知らなった。
訃報を聞いて改めて聴いてみたという情けない話だ。
2006年The Birthdayを結成。
この頃自分は社会人になっていて新しい音楽を聴く機会は少なかったが何かのニュースで見たらしい。その時にミッシェルのドラムだったクハラちゃんも一緒にやるというのも知ったはず。
ミッシェルの名を久しぶりに聞いて嬉しくなってアルバムを借りに行った。
アルバムを2枚借りて聴いてみたが、当然だがミッシェルとはちょっと違う。
当時の自分にはピタッと合わなかったようでその後を追いかけることはなかった。
それから10年以上、彼の新曲を聞くことはなかったはずだ。
昔の曲は時々聞いていたのだけど。
アベフトシが亡くなった時もショックだった。ショックでミッシェルの曲を封印するようになってしまった気がする。
久しぶりに再会したのはスカパラとのコラボ。
髪は白髪が混じり、短髪でおでこが全開、スカパラと一緒に楽しそうに笑いながら踊りながら歌う姿に衝撃を受けた。
自分が知っているミュージシャンで一番ぶっきらぼうで愛想がなかったあの男がこんなパフォーマンスをするようになったとは。
年を取った姿に寂しさを覚え、変わらぬ声に安心してお気に入りの一曲になった。
また何年かたったらコラボして、次はもっと歌ってほしい。
そう思っていたら病の発表、そして一年も経たずに故人になってしまった。
寂しくて悲しくてチバユウスケの歌ばかり聞いている。
もう一度ミッシェルを。そして今まで聞いていなかったThe Birthdayを。
映画も再上映するらしいし、見に行こう。
音楽を聴いている限り、チバユウスケは永遠に傍にいてくれる。