目次
1.二股駅
再び国道5号線に戻り、長万部市街を通過して黒松内方面へ進む。
周囲は農地、牧草エリアだろうか。
やがて小さな集落が見えてくる。国道の東側にあるのが二股駅。
人口が希薄な地帯ではお決まりの貨車駅だが、ちょっと珍しい形。
道内では唯一のワラ1形有蓋車を改造した駅。
正面に出入口があるのは珍しい。
錆びが目立ち、駅名標がなければコンテナを改造した物置にしか見えないだろう。
長万部方面。山間の駅のような風景。
鉄道・国道は川が浸食した谷間を通っている
東西を山地に挟まれていて農地にはあまり適さなかったようだ。
黒松内方面。かつて隣駅だった蕨岱駅跡付近まで国道と並行して進む。
2.二股駅と近隣の歴史
二股という剣呑な印象の駅名は、この辺りが長万部川と知来川の合流点であることが由来。
松浦武四郎が記した史料にもその名が出てくる。
現在の住所表記は双葉という地名になっているが、駅名・川名・そして温泉の名にも残っている。
グーグルマップでは黒松内方面からやって来る知来川と二股川が合流してから長万部川という表記になっている。
西から下って来る二股川を駅から道道842号で遡っていくと、二股らぢうむ温泉という宿泊施設がある。
その名の通り成分に微量なラジウムを含み、湯治客が多い。
温泉には炭酸水素カルシウムも含まれている。
これが湧出した際の圧力低下によって二酸化炭素が放出され炭酸カルシウムに変質する。この物質は水に溶けにくいため沈殿し(湯の華)、さらに溜まって石灰華ドームという珍しい景観を生み出している。
長さ約400メートル、幅約200メートル、厚さ最大25メートルで、この規模のものはアメリカのイエローストーンとここにしかないと言われる貴重なもの。鍾乳洞の中に似ているらしいが、酸化して茶色っぽくなっている。
明治期より温泉として知られていたようだ。
1975年貨物取扱廃止。
1970年代の国土地理院地図の航空写真
集落は今よりも大きく、黒松内方面には貨物側線も見える。
木材の集積地らしき場所もある。
現在も側線は撤去されておらず、航空写真で合流地点が見える。
1986年無人化・交換設備廃止。それまでは2面2線のホーム構造だった。
1987年駅舎撤去され貨車駅となる。
北海道新幹線札幌延伸時までに「山線」廃止によって廃駅の予定。