二風谷ダム ― アイヌについてはまたの機会に ―

むかわ町の富内集落から再び道道74号へ。

途中で道道59号に進路を変えて平取町へ向かう。

 

 

平取町沙流川流域に集落が点在していた。

 

道道59号と国道237号が交差する辺りが町の中心地。

 

国道237号を北上すると二風谷(にぶたに)ダムが見えてくる。

 

ダムを訪れる前に一か所寄り道。

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旧マンロー邸。

イギリス人の学者、マンロー博士が住んでいた住宅兼病院。

博士はアイヌの研究のために二風谷に移住し、研究と奉仕活動に生涯を捧げた。

現在は北大の所有となっている。内部には許可がないと入れないが、近くまで来ることは可能である。

 

 

さて、地図を見ると分かる通りここはダム湖の畔である。

 

まず、ダムを見たい方はここから南へ。

 

 

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ここのダムってちょっと変わった形をしているのだ。

重力式コンクリートダムではあるのだが、逆から見るとよりわかりやすいか。

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堤頂は北海道の重力式コンクリートダムでは一番長い。

貯水位の変動に合わせて自動で追随するスイングシュート式魚道を設置。

オリフィスゲートが7門設置されているなど、道内ではなかなか珍しい形をしているのがわかる。

 

雨脚が強くなってきたので、少ししか歩けなかったが天気の良い日にゆっくり眺めたい。

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さえない天気である。

 

ダムカードを欲しい方は、平日はここでもらえる。しかし、管理事務所が休みの日は移動が必要だ。

 

 

沙流川歴史館。無料の博物館だ。

ダムカードが欲しい方はここの受付でいただこう。

せっかくなので展示も見ていくとよい。沙流川流域の古代~アイヌ時代~現代に至るまでの歴史や自然について展示されている。

遊歩道もあるのでダム湖を眺めながらドライブで固まった体をほぐすのも良いだろう。

 

二風谷ダムは、この地に暮らすアイヌの人にとって聖なる場所であった。

ダムの建設に当たっては裁判にもなるなどそうとうすったもんだがあったが、半ば強引に建設してしまったらしい。

そんなこともあってか、ここには先ほどの沙流川歴史館の他にもアイヌ文化博物館や工芸品展が並んでいる。

また、国道237号の逆側には萱野茂二風谷アイヌ資料館もある。

萱野茂という人は国会議員なども務め、アイヌ民族の地位向上に尽力した人物である。

今回は時間がなくて訪れることができなかったが、別の機会に時間を設けて見学してみたい場所だ。

富内線 ― 銀河鉄道の朝 ―

穂別町の市街地を出て、旧富内線の跡を巡ることにした。

 

ちなみに穂別駅は市街地にあった。

現在では公園となっている。

 

 

富内は鵡川の対岸を通る道道131号を通り、さらに分岐する道道610号沿いにある集落だ。

 

当初富内線はこの集落にある駅が終着点だったため、富内線と名付けられた。

その後日高町まで延長されるも、路線名は変わらず。

 

根室本線金山駅と接続する計画はかなわないまま廃線となって久しいが、この富内駅跡は鉄道が通っていた時代の設備が整然と残されている。

という紹介を見て、行ってみることにした。

 

穂別市街から10分少々車を走らせる。

山間の小さな集落に入った。

 

少し進んで、左手に曲がると駅が見えてきた。

 

 

 

 

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まだ休日の午前9時過ぎだからか、人気はない。

噂通り、駅はきれいに保存されている。

 

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富内線の経歴。往時はどれだけ賑わっていたのかはわからないが、炭鉱の街とはまた少し違う顔を持っていたような気がする。

 

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駅舎は鍵がかかっていたが、ホーム側に出ることは可能。

 

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駅名標や線路はきれいに整備されている。

 

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車両も保存に手が掛けられていることがわかる。

中に入れるか確認するのを忘れてしまった。

某サイトでは銀河鉄道をイメージした色に塗装されたのではとの推測があったが、果たして実物はどうだったのだろう。

 

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銀河へと続く鉄道をイメージして線路が上に向かって途切れている。

この駅は文化財として登録されたそうだ。

宇宙飛行士の毛利衛さんもアドバイザーらしい。

宮沢賢治と所縁があったのかはわからない。しかし、過去の記憶をそのまま残しただけではなく、発展的にアレンジした試みとメンテナンスを怠っていない事は素晴らしいと思う。

 

夜に来るとまた違った雰囲気かもしれないが、この静かな場所によそ者が暗くなってから来るのは迷惑だろう。

かといって早朝もどーなのかと思うが、いずれにせよマナーを守って見学させてもらうのが良いだろう。

 

ちなみにこの先、道道610号は舗装が途中でダートに変わり、通行止め。

さらに途中で分岐した道道131号も路肩決壊のため2017年5月時点で通行止めが続いている。

かつての終着駅は鉄路からアスファルトの道に姿を変えても、終着点のままだった。

銀河へ続く線路は銀河しか行先がないから銀河へ向かうのだ。

ゆえに孤独で美しくて哀しく見えるのだろう。まさに宮沢賢治の世界である。

むかわ町穂別地区 ― 恐竜の街 ―

むかわ町の市街地を通り抜けると、町名の由来となった一級河川鵡川にぶつかる。その鵡川沿いを走る道道74号へ進路変更。山間部へ向かっていく。

 

途中で趣ある建物の郵便局を見つけた。

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似湾郵便局というらしい。この近くを流れる似湾川から来ているのか?

旧穂別町は似湾村と名乗っていた時期もあるらしい。

 

 

かつては鵡川の対岸にあったようだ。JR富内線が対岸を通っていたので集落もそちらがメインだったようである。廃線となった今は道道沿いに引っ越してきたようだ。

 

引き続き道道74号を進んでいくと、やがて鵡川を渡る橋に出る。

道道74号は穂別市街地に向かうのだ。

 

穂別町は古くからアンモナイトなどの化石の産地として知られていたが、クビナガリュウなどの化石を発掘するに至り、恐竜を観光資源の一つとして発展させてきた。

 

町内には化石の展示をメインとした町立の博物館。そして地球体験館という様々な環境を体験できる博物館が建てられている。

町立博物館の化石の展示もなかなか立派だが、地球体験館の方はガイド付きのツアー式となっている。純真な小学生はもちろん、大人も意外に楽しめる施設である。

これは施設もさることながら、ガイドの仕事ぶりもおおきく寄与しているのだろう。

少なくとも数年前に行った時にはそうだった。

今回はおじさんの単独行でもあり、そもそも開場時刻になっていなかったので博物館には寄らないでおく。

 

その代りに向かったのがこちら。

 

野外博物館。

市街地を高台へ向かうと突き当りにある。

公園にもなっており、つつじが多く植えられている。

時期外れので、まだ冬囲いが外れたばかりであった。

 

遊歩道を奥へ歩いて行くと

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何やら不穏なトンネルが。

 

内部は

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古代の海の風景?

 

 

 

トンネルを抜けると

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古代の海へタイムスリップ!

 

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学術的なことも展示されている。

 

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本物の化石も惜しみなく展示。

 

 ここはツツジ、桜などが植えられている12haの森の中。

その一角に造られた化石の森なのだ。

 

ステージもあってイベントを行うこともあるらしい。

恐竜の街、穂別町にふさわしい憩いの場である。

 

地球体験館はツアー制なので時間が決まっていることもあり、待ち時間を過ごすには町立博物館ともどもぴったりの場所である。

 

また、散歩するにも最適だ。

町内のキャンプ場を利用する方はちょっと足を延ばしてみるのも良いだろう。

むかわ町の鵡川地区 ― 秘境駅とノーベル賞 ―

厚真町から隣のむかわ町へ向かう。

浜厚真駅の近くからは国道235号線を走ることになる。

このままずーっと浦河町の市街地まで向かう国道である。

むかわ町は南北に長い町である。

wikipedia:むかわ町

 

鵡川町と穂別町の合併によってできた町である。

 

海沿いは旧鵡川町域にあたる。

 

厚真町との境目付近にはJRの浜田浦駅が設置されている。

 

 

なかなかの秘境駅として有名である。

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これが駅である。

雨露を辛うじてしのげる程度の建物だ。

周りにも人家はほとんどない。

 

中には駅ノートが置かれていた。

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周りの風景と駅のわびしさが相まって国内の鉄人達にはなかなか知名度が高いようだ。

外国から訪れている人もいた。

ここに到達した達成感で満ち溢れている人もいれば、駅もさることながら星空の美しさに感動したと綴っている人もいた(外国の方だったかな)。

星空観賞ツアーなどを企画できればJR北海道の手助けになるだろうか。

 

車で訪れる場合は、駅から少しだけ離れた場所に駐車帯があるのでそこに車を停めるとよいだろう。1~2分も歩けば駅に着く。ただし、歩道がないのでかっ飛ばしてる車に要注意だ。

 

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左側の枯れ木の向こうに見えるのが駅である。

こんな原野に囲まれた場所なのだ。星空が美しいのもさもありなんである。

 

さて浜田浦駅を過ぎるとまもなく旧鵡川町の市街地である。

町役場など行政機関が並ぶ辺りに道の駅も建っている。

 

 ここは温泉ホテルが併設されている道の駅だ。

朝7時頃だったので、売店等はまだ準備中であった。

中には入ることができる。

トイレを借りた後、館内のギャラリーを見学した。

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何のギャラリーかわかるかな?

 

ここは2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章理学博士のギャラリーである。

博士はむかわ町の出身なのだ。

 

北大を卒業した後も、30年以上北大に勤務されたそうだ。

研究内容の詳細は私のような素人にはちんぷんかんぷんであるが、ウィキペディアによればパラジウムという金属を触媒として炭素同士を効率よくつなげる画期的な合成法を編み出したことで受賞となったそうだ。

 

また、功績としては学問の面だけではなく、特許を取得しなかったことによって広く使われる技術となったことが挙げられる。

今では広く応用され、抗がん剤エイズの特効薬・農薬・液晶や有機ELの製造にも使われる技術となった。

 

受賞当時は北海道初のノーベル賞として、道内では大きく盛り上がったが受賞の内容を理解できている人は少ないのではないだろうか。

 

むかわ町を訪れることがあれば、ぜひこのギャラリーも訪ねてちょっとだけ勉強してみるのも良いだろう。中には未来のノーベル賞受賞者が現れるかもしれない。

厚真町 ― 苫小牧の東 ―

苫小牧の勇払から東へ向かう。

 

海岸線に沿って走っていくと、厚真町に入る。

wikipedia:厚真町

 

 

苫小牧市と厚真町の境目には大きな河川や峠があるわけでもなく、気づけばなんとなく町境を越えている。景色もあまり変わらない。

 

海沿いに走っていくと最初に目につくのは苫東厚真発電所

かなり大きな建造物である。今回は霧雨の中を走っていると、もやにかすんだ巨大な城のように見えた。

条件はあるものの、見学も可能なので火力発電所に興味のある人はぜひ行ってみよう。

 

さらに東へ行くと、今度は苫小牧東港フェリーターミナルにお目にかかる。

苫小牧西フェリーターミナルが苫小牧市街地に比較的近接しているのに対して、こちらはもはや苫小牧の市域外である。

新日本海フェリーのターミナルで秋田、新潟、敦賀への路線が就航している。

この苫東という地域、なかなかいわくつきの工業団地の名前からとられている。

詳細は省くが田中角栄さんのころから開発が進められたもので、借金だけが莫大に残っているとかなんとか。

 

さて、発電所の辺りからはJR日高本線と並行して進む。

災害によって一部は運行を停止ししたまま廃線となる可能性が高い路線であるが、この辺りはまだ現役の路線である。

 

厚真町には駅は一つしかないのだが、せっかくなので立ち寄ってみた。

 

その名も浜厚真駅

フェリーターミナルからは歩いて10分程度だが、コンビニはおろか人家もまばらな原野の中を歩くことになるので覚悟しておいた方が良い。

歩道もろくにないので、天気の悪い日や夜はやめた方が無難である。

JRの本数も決して多くないのでフェリーを利用する人は基本的にパスするべきである。 

 

そんな浜厚真駅だが、外観はこんな感じ。

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かつて実際に利用されていた車両を使った駅である。

北海道の田舎ではそんなに珍しくはないのだが、海辺の駅らしいきれいな塗装が施されており、殺風景な景色の中で心が和む場所だ。

 

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時刻表。1日8往復程度。

これを多いとみるか少ないとみるか・・・