後志ぐるりと ― 寿都鉄道樽岸駅跡 ―

湯別駅跡から国道229号へ戻り、西へ進む。

朱太川の河口近く、簡易郵便局を通り過ぎて反対側の樽岸会館に樽岸駅の駅名標が設置されている。

 

 

 

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「し」の右上にある点は何だろう?

 

 

実際の駅はもう少し南にあったようだ。 

 

 

今では広い空き地があるだけ。

 

駅舎は個人所有となって寿都駅方向に移設された。

物置として使われているらしいという話もあるが、今回はわからず。

 

寿都鉄道はニシン漁の不漁、鉱山の閉山などで経営が苦しくなっていたところに朱太川の氾濫によって湯別駅と樽岸駅の間の路盤が流出するなど収入の2倍を超える経費を計上する大赤字によって1968年運航停止。

 

1972年に正式に廃止となった。

後志ぐるりと ― 寿都鉄道湯別駅跡 ―

田園地帯の広がる道道9号線を北上し、やがて寿都町に入る。

朱太川の対岸へ渡り、国道229号よりやや南に次の目的地、湯別駅跡がある。

 

 

駅跡は倉庫?物置?のような姿になっている。

 

駅名標は隣の生活改善センターに設置された。

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「ゆ」という字が特に独特な字体。

当時の駅名標を模したのだろうか。

 

 

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入り口のすぐそばに設置されている。

写真を撮りに来てここに車が止まっていたら悲しい。

 

黒松内町の大金鉱山から産出した鉱物の積み出しも行われていたそうだ。

 

 

この付近に見える木に覆われていない箇所が鉱山跡だろうか。

 

日本海に面した寿都町と内陸の黒松内町を結んだ鉄道ということで、海産物の輸送が主かと思っていたが、この黒松内町寿都町は鉱山が複数あり鉱物の積み出しも盛んに行われていたようだ。

 

寿都町史より

現役時代の湯別駅駅舎

 

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後志ぐるりと ― 寿都鉄道中の川駅跡 ―

黒松内からしばらくは来た道を戻ることになる。

日本海へ向けて北上していく。

 

途中で寿都鉄道の名残に寄り道しながら行くつもり、とは言え約50年前に廃線となった小さな私鉄の遺構が時間のない素人に簡単にたどり着けるはずはない。

 

しかし、寿都鉄道の駅があったことを示す駅名標が各駅に設置されていることを知ってそこだけでも訪ねることにした。

 

まず最初は中の川駅跡。

 

 寿都町へ向かう道道9号と島牧村へ向かう道道523号のちょうど間にある、中ノ川地区集会所。

 

ここに、駅名標が設置された。

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住所は「中ノ川」だが駅名は「中の川」だったようだ。

 

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地区集会所の向かって左側に設置されている。

いつ何時地元の人が利用するかわからないので、邪魔にならないよう早々に退散する。

 

ちなみに、wikipediaによると本来の駅の位置はここ。

 

 

 

すぐそばにあるのは農協の施設。

今ある建物は寿都鉄道の廃止後にできたのではないかと思われるが、中の川駅があった当時も貨物列車を利用する農協の施設があったのだろう。

 

これから、路線は朱太川に沿って寿都方面へ続いていた。

現在は車はおろか徒歩でも達人でなければ通れない道なき道になっているだろう。

大人しく、朱太川の対岸を走る道道9号を北へ進み、黒松内町に別れを告げる。

 

 

後志ぐるりと ― 黒松内駅 ―

熱郛駅から道道を走る。林の中を線路と近寄ったり離れたりしつつ、黒松内の市街地へ向かう。

小さな市街地の一角にある黒松内駅に到着。

 

 

 

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立派な駅舎である。

明治~昭和初期までは機関庫が設けられ、太平洋と日本海を繋ぐ交通の要衝であった。

ここから1920年には寿都鉄道という私鉄も分岐しており、今では想像がつかないが鉄道の町であった。

しかし、1932年に瀬棚方面、室蘭方面と分岐する長万部駅が機関庫となり、1970年頃には寿都鉄道も利用減少で廃止となる。

 

黒松内駅以外では大きな駅もなく、こと鉄道においては影の薄い町になってしまった。

 

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駅舎内に展示されていた写真。

現在は住宅が密集し、周辺の林が増えたようだ。

 

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川釣りの絵

木の幹を突っつくクマゲラカントリーサインにも描かれている。

 

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隣は長万部町の二股駅。

かつてはその間に蕨岱駅(わらびたい)があったが、廃駅となった。

 

 

 

ここからはJRとは離れ、寿都鉄道跡に寄りながら日本海へ向かうことにした。

 

黒松内町史より、駅構内図。

今では考えられないが広大な設備があったのだ。

後志ぐるりと ― 熱郛駅 ―

名駅の次は熱郛駅(ねっぷえき)

ここからは黒松内町のエリア。

道の駅黒松内から西に向かい、国道から分岐した道道を進んでまもなくのところにある。

 

 

 

この駅はわがまちご当地入場券の対象駅になっている。

無人駅のため、販売は道の駅で行っている。

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既に昨年購入済みなので、今回は駅舎訪問のみ。

 

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変わった三角屋根が特徴。

入り口には熱郛ホールと大きく掲示され、向かって左の隅に熱郛駅と表示されている。

 

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時刻表は御覧の通り。

蘭越駅を境に停車する列車はいっそう少なくなる。

 

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小さな集落の小さな駅だが、列車交換可能で中央にも線路を持つ駅だ。

 

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ここからは一度国道から離れ、道道に沿って隣の駅へ向かう。

次は黒松内駅、黒松内町の市街地に位置している。

この道道を走るのははじめてだ。