小樽の端っこ周遊 ― 塩谷駅 ―

奥沢水源地から市街地を通らず、山裾に沿って走る道を西へと向かう。

 

山間の畑が点在する地域にぽつんとあるのが函館本線の塩谷駅。 

 

1903年に開業。

1912年現在の北海道ガスの工場が駅近隣に建設され、専用線が設けられた。

2005年、工場もなくなる。

 

 

 1970年代後半の国土地理院地図による航空写真。

 

 駅舎やや西側に大きな工場のようなものが見える。

現在のグーグルマップを見ると建物の基礎とタンクが残っているようだ。

 

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駅舎は道路から一段高くなったところにある。

車は道路の反対側の駐車場に停めさせてもらう。

 

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やや寂しい場所にある駅だが、駅舎のデザインや駅名のフォントは明るく元気よさげ。

 

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しおやの文字が置かれているのは花壇だろうか。

 

砂利と石造りのホームが歴史の重厚さを際立たせる。

 

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跨線橋も渋いことこの上ない。

 

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跨線橋の内側は白で統一。

駅舎も白いので新緑の時期はとても爽やかな印象の駅・・・のはずだ。

 

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小樽方面は森の中へと続く。

塩谷駅の東隣はいつも観光客で賑わう小樽駅

一つ隣に来るだけで秘境駅一歩手前のようなロケーションである。

 

蘭島駅方面は写真を撮り忘れた・・

専用線はそちら側にあったのだが痕跡は分かるのだろうか。

 

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小樽の端っこ周遊 ― 奥沢水源地 ―

某月某日

この日は一人で小樽方面へドライブ。

最初に向かったのはかま栄のテレビCMに起用されている奥沢水源地の階段式溢流路。

 

 

 

市街地に入って山側へひたすら上るとかつての奥沢ダム某月某日

 

この日は一人で小樽方面へドライブ。

 

最初に向かったのはかま栄のテレビCMに起用されている奥沢水源地の階段式溢流路。

 

市街地に入って山側へひたすにら上るとかつての奥沢ダムに到着。

堤体に陥没が見つかり、2012年に惜しくも中央部を撤去されることとなった。

 

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駐車場からは取水塔と橋のみにダムの名残を感じることができる。

撤去時には小樽の水源はほぼ朝里ダムで賄えるとのことで、存在感は小さくなっていたものの歴史のあるダムということで残念に思うダムファンもいたとかいないとか。

 

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駐車場横の細い道を進んでいく。

 

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水の流れる音はすでに聞こえてくるが、逸る気持ちを抑えて案内板をじっくりと読む。

ダムの形式はアースダムだったのだ。

 

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ダムの断面図。

水道専用ダムだった。

 

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地形図と概要。

今となっては現物を見ることのできない貴重な写真も。

 

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暗くなってしまったが土木遺産認定のプレート。

 

kamonji224.hatenablog.com

既に配布は終了しているが土木遺産カードについてはこちら。

 

そしていよいよ念願の水すだれとご対面。

水道管橋の上から眺めることができる。

 

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右から

 

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左から

 

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正対

 

高さ20m超とあって写真や映像で見ていたものとは段違いの迫力。

これは是非とも現場へ行って見てもらいたい。

ダムが撤去された後も残されているのが納得である。

 

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遠目から見るとこんな感じ。

 

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橋の下流側。

かつてのダム堤体は撤去後、水路となり溢流路を流れてきた水と再び合流している。

 

ちなみに国道からここへ至る道にはミツウマや第一ゴムなど小樽の老舗ゴムメーカーを代表に工場が並んでいる。かつてはもっともっと多くの企業・工場があったそうだ。

輸入に有利な港町であること、冬が長くさらに坂が多いこともあってゴム長靴等の需要が一定して認める事、さらにゴムの製造過程や動力に必要な水が豊富でなおかつ小樽市内には珍しく平地が多かったことなどなどの理由があって、小樽市中心部では珍しい工業地域となっている。

 

ところで、ゴムと言えば

 

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次巻はいつ?

豊平川サイクリング ― 橋を眺める ―

某月某日。

やたらと早く目が覚めたので豊平川をサイクリングしてみることに。

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既に日は登っている。幌平橋から下流を眺めてみる。

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アーチが特徴的な幌平橋

徒歩で登ることも可能だ。

 

現在の橋は1995年に完成。最初に架けられたのは1927年の木橋

  

 

少し下流には精進川が流れ込む樋門。

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階段状になっていて、さらに左右の高さに違いがあるのはどんな意味があるのだろう。

 

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次は南大橋。

向こう岸には高層マンションがあちこちに並ぶ。

1963年架設。当初は南九条大橋となるはずだだったが、九は苦や窮に繋がることから避けられたらしい。

 

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舗装の切れ目には力強く育つ草花。

 

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やがて見えてきたのは南七条橋。

1971年架設。

創成川通りに続く橋だ。

 

 

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ここは段差があって川の流れに変化が見える。

 

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続いて豊平橋。

1871年架設の丸木橋を最初に、最も長く豊平川の氾濫と闘ってきた橋である。

今もなお豊平川に架かる橋の中で最も交通量が多い橋でもある。

 

向こう岸にはマンションの間に教会が建っている。

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次は白いパイプのアーチが特徴的な豊平第一水道橋。人は渡ることができない。

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その奥に見える斜張橋の塔も同じく白色であわせて楽しめる。

 

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斜張橋の塔って存在感が凄い。

ちなみにこの橋も人が渡れないその名もでんでん大橋。

隣が水道管ならこちらは通信ケーブルを通す橋なのである。

 

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こんな感じでケーブルを守るシェルターが橋となって川を跨いでいる。

市街地では地下を通っているのだ。

 

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ビルやマンションが無かったらかなりインパクトのある橋なのだが、いかんせん都会ではこんなもの。

 

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これはどの橋の下だったかな・・・

多分一条大橋だと思うが。

橋脚が2列あるのは豊平川では珍しいかもしれない。

 

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中洲にはちょっと珍しい鳥が1羽だけ佇んでいた。

思ったより首が長くてびっくり。

 

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中心部と厚別方面を結ぶ瑞穂大橋が見えたあたりでカメラの電池が切れそうになったので帰ることにした。

 

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途中で休憩がてら小さな花壇を見物。

 

 

1970年代の国土地理院地図航空写真。

現在と比べてみると面白いかもしれない。

 














 

世界ふれあい街歩き ― レイキャビク ―

今日は2008年8月7日放送の世界ふれあい街歩きで紹介されたアイスランドの首都レイキャビクについて調べてみた。

 

wikipedia:レイキャビク

 

 

アイスランドは人口30万人の小国でそのうちレイキャビク市内には約10万人、首都圏で見ると20万人以上が居住している。

レイキャビクは世界最北の首都である。夏は白夜が続く一方で冬はほぼ陽が差すことのない過酷な環境である。

 

ヴァイキングが定住を始めたが長い間小さな漁村に過ぎなかった。

18世紀にデンマークの領地となり、羊毛産業が興り交易が始まった。

現在は水産業の他に低い所得税率を活かして外国資本の誘致を積極的に行っている。

 

街のシンボルはルター派のハットルグリムス教会。

20世紀になってから作られた新しい教会だ。

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展望塔も備えたアイスランドで一番大きい教会だ。

 

教会から北東、海岸沿いにはレーガンゴルバチョフが冷戦終結に向けた会談を行った旧フランス領事館、通称ホフディハウスがある。

現代史の記念碑的な建物として多くの観光客も訪れる場所だ。

 

火山国であるアイスランド地熱発電が盛ん。

ペルトランという施設に郊外の発電所から熱水が集められ、なんと市内全ての給湯を賄っているという。

 

市外には同じく発電所から供給された熱水(排水)でブルーラグーンという温泉設備も作られた。

 

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もちろん綺麗な街並みを散策するだけでも時間があっという間に過ぎていくことだろう。元々は漁業の町だったこともあり、海もすぐ傍なので眺めのいい場所はたくさんあるようだ。

 

港には海洋博物館と退役した哨戒艦オーディンが展示され、観光スポットの一つとなっている。

 

 

 

ヒューゴー賞読もうぜ ― 第16回~第20回 ―

久しぶりにSF小説のMVPであるヒューゴー賞受賞作紹介。

 

1970年 第16回受賞

アーシュラ・K・ル=グウィン著 「闇の左手」 ☆☆☆☆

 

 

闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))

闇の左手 (ハヤカワ文庫 SF (252))

 

 

宇宙連合からかつての植民地である宇宙の辺境、冬の惑星にやって来た使者ゲンリー・アイ。外交関係の復活を目的としてカルハイドという国の王に謁見を試みるが交渉役となっていた宰相エストラーベンが追放される。謁見を諦め隣国に接近するも争いに巻き込まれ囚人となってしまう。エストラーベンに助けられ二人して冬の荒れ地を逃走するがそこはまさしく死の世界であった。

淡々としていながら緊張感の高い文章、両性具有人である冬の惑星の人々の文化や歴史の叙述がまるでノンフィクションのようなル=グウィンの傑作文化人類学的SF。

 

 

1971年 第17回受賞

ラリー・ニーヴン著 「リングワールド」 ☆☆☆☆

 

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

 

 地球に住む冒険家ルイス・ウーはひょんなことから宇宙へ旅立つことに。彼を連れ出したのは脚が3本に頭は2つ、優れた科学技術を持つパペッティア人のネサスとかつて人類と長年にわたる宇宙戦争を繰り広げた肉食ネコ型モフモフ宇宙人のスピーカー・トゥ・アニマルズ。

そして地球人の女性ティーラ・ブラウンも仲間に加わり計4人(?)となる。

各々目的は違う一行が向かったのは宇宙に浮かぶ巨大なリング状の物体。直径はほぼ地球の公転軌道、中心に恒星があるリングワールド。

かつては非常に高度な文明を持っていたようだが今は原始的な文化が点在するのみ。

奇妙な変化をとげた住民たちと接触しながら一行が目にしたものは。

 

ル=グゥインとは対照的にこちらは不思議な宇宙人や冒険に次ぐ冒険が詰め込まれた活劇SFの傑作。

 

 

1972年 第18回受賞

フィリップ・ホセ・ファーマー著 「果しなき河よ我を誘え」 ☆☆☆☆

 

 

19世紀のイギリスの探検家であるリチャード・フランシス・バートン(アランビアンナイトの編者)は死んだ。

と思ったら見知らぬ河の畔で復活していた。

この河の周りにはネアンデルタール人以降に地球に存在した全ての人類が復活していた。衣食だけは保証されており、この地で死んでもいつか河のどこかで復活しているのだ。好き勝手やる人々だがバートンには復活前の記憶がかすかに残る。

ここは死後の世界ではなく何者かが用意した世界であり、その謎を解くために河の上流へ向かうことにしたバートンの冒険を描く。

 

正直この巻は「この世界についての謎を解こうとする」ところまでで終わってしまっているのだがそれでもめっぽう面白い。

続きを早く読まなくてはと思いつつまだ手に取ることができていないのである。

 

 

1973年 第19回受賞

アイザック・アシモフ著 「神々自身」 ☆☆☆☆

 

アシモフの代表シリーズであるファウンデーションシリーズやロボットものとは関連のない作品。

無限かつ無害といわれる夢のエネルギー「エレクトロンポンプ」を研究する地球の科学者、遠い惑星の人類とは全くかけ離れた知的生命体、そして地球から月にやってきた科学者たちと3部構成で話は進む。

性的なシーンが書けないと揶揄されていたアシモフが半ばムキになって書いたとも言われる作品。もっとも人間ではなく、よくわからない生命体で描写してしまうところは笑える。ストレートに描くのが気恥ずかしかったか、本当に描く能力がなかったのかは今となっては永遠の謎だ。

 

1974年 第20回受賞

アーサー・C・クラーク著 「宇宙のランデブー」 ☆☆☆☆☆

 

 

太陽系にやって来た未知の宇宙船ラーマ。

いずれ太陽系を通り過ぎてしまうのだが、その前に探索を命じられたエンデヴァー号乗組員の冒険を描く。

アシモフハインラインと並ぶSFビッグ3クラークの代表作の一つ。

技術者の冒険を描くのが得意なクラークの真骨頂ともいえる作品。

あくまでも科学的な調査が主であるが、にもかかわらずハラハラドキドキの連続。単純な勧善懲悪とは一線を画したSFの教科書に載るべき作品である。