札幌史跡探訪 ― 苗穂駅 ―

目次

 

 

 

1.苗穂駅

某月某日、この日も30度を超える暑い日だった。

例によって自転車で札幌市内をウロウロしてみる。

この日のターゲットは東区。まずは苗穂駅へ向かう。

 

 

航空写真を見てもわかるように巨大な敷地を有するこの駅。

最近改築され、近代的な駅舎に生まれ変わった。

 

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黒ベースとレンガ色の赤茶色が共存するシックで落ち着いたデザイン。

 

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駐輪場側から駅に入るとレールが壁いっぱいにずらりと張り付けられている。

 

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ここも白石駅と同様に駅舎改築とまちづくりを近隣住民と連携してきた様子。

その一環として氏名を刻印したスライスレールを駅に展示しているようだ。

 

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現在の駅は橋上駅舎。レンガ調の壁に黒地に金字で苗穂駅と厳めしく刻まれている。

 

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自由通路には苗穂駅周辺の土地開発計画を示した模型が展示されていた。

 

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主な目的としては駅舎の移転・橋上化・北口の開設により南北の分断解消、周辺に医療施設・高齢者住宅を設置して活性化を図るとのこと。

これまでは北口がなかったので北側からの鉄道利用はかなり不便だったであろう。

 

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自由通路から札幌側を眺める。

線路沿いに立ち並ぶビルの先には手稲山

 

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白石方面。跨線橋が目立つ。

2面4線のホーム構造だが、その他に通過用の線路が複数。

 

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北側を眺めると広大な敷地の大半を占める施設。

JR北海道苗穂工場、苗穂運転所、JR貨物苗穂車両所となっており、いろいろな車両が留置されている。車両好きならこの自由通路に一日いても飽きないかもしれない。

コロナの影響で今は閉鎖中だが、平時であれば月2回見学可能な北海道鉄道技術館という博物館も内部にある。

 

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北口側。新しい建物ばかりが並ぶ。

今後駅と連絡する空中通路も増えていく予定だそうだ。

 

2.苗穂駅の歴史

1909年、駅の開業前に大日本麦酒サッポロビール)製麦場専用線が運用開始。同年北海道鉄道管理局札幌工場設置。

1910年、一般駅として開業。

1922年札幌市電が駅前に乗り入れ。1926年千歳線が乗り入れ。

1931年には定山渓鉄道東札幌駅を経由して乗り入れ。

1935年2代目駅舎開業。

 

ここでいったん今昔マップ

1935年と1950年の地図

鉄道省工場が札鉄苗穂工場に名称変更。

駅の西にはサッポロビール専用線が見える。

さらに南方面には札幌側から分岐する北海道ガス専用線や白石側から分岐する専用線

この辺りは工場が多かったようなので、そのために設置された専用線のようだ。

 

さらに駅北東へ伸びていく専用線も見える。

1935年の地図では糧秣廠派出所とある。これは陸軍の食糧工場だったそうだ。

その後は日本セメント専用線となる。

 

1969年定山渓鉄道廃止。1971年札幌市電苗穂駅前停留場廃止。

1973年千歳線切り替えで苗穂駅東札幌駅間廃止。

同年専用線を除く貨物の取扱廃止。

 

1988年札幌~苗穂駅間4線化運用開始。

2001年貨物の取扱いはすべて終了。

2018年現在の駅舎が移転開業。2019年2代目駅舎・ホームが解体。

 

再び今昔マップ。

1975年の地図では専用線はかなり少なくなった。

現在の地図では工場もかなり減り、敷地跡を通る道路も見える。

 

国土地理院地図の1970年代後半の航空写真。

 

2016年に解体された扇形車庫がくっきりと見える。

その周りにある建物も殆どなくなったが、転車台は現在も残っているようだ。

 

 

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