前回に引き続き、みなとの資料コーナーを見学中。
こちらは今いる建物のすぐ横にあったケーソン製作ヤードの写真。
2台の巨大なクレーンがシンボルだった。
残念ながら老朽化のため2016年にクレーンは撤去された。
ケーソンの大型化もあって、小樽港で製作できるサイズの需要が無く2005年に製作されたものが最後だったという。
既に配布終了しているが土木遺産カードについての詳細はこちらから。
土木遺産に認定されたのはクレーンではなく斜路式のヤード。
ケーソン完成後、海中に滑り落とすことでコストや作業の難易度を削減できる当時としては画期的な設備。この小樽港で世界で初めて建築されたらしい。
考案したのは南防波堤の建造指揮を取った伊藤長右衛門。
彼もまた前回のブログで紹介した廣井勇と同じ運河公園に銅像が建っている。
ちなみに廣井勇の弟子にあたるそうだ。
小樽港発展の礎を築いた師弟である。小林多喜二や伊藤整もいいが、こういった人々ももっと知られてもいいのではと思う。
そういう意味では先人カードの意義は大きい・・かもしれない。
見学を終えて建物から外へ出る。
駐車場のすぐ横がケーソン製作ヤードだ。
これだけ見てもいったいなんのこっちゃである。
進水の際は斜路を延長して海中まで設置していたそうだ。
海中に沈めたままだと腐食が進んでしまうので、使用時以外は陸に引き上げていたとのこと。
もうこの先に斜路が設置され、ケーソンが海に浮かぶ日は永遠に来ない。
廃鉱となった炭鉱に似た寂しさを感じる。
ケーソン製作ヤードについての案内板。
単位は函。「はこ」または「かん」と読むのだろうか。函館や銭函など地名にも使われる文字だ。
ケーソン進水はかなりダイナミックなイベント。
多くの人が集まっているようだ。
さて、帰ろうとすると建物の脇に似たような案内板を発見。
せっかくなので覗いてみる。
これには北防波堤についての説明が記載されていた。
特に、建設のポイントとなった斜めに積まれた部分について詳しく述べられている。
まさかのこんなところにレールが使われるとは。
これはかなりの鉄道マニアでも知らない案件かと思われる。
そして草むらにドシンと置かれたコンクリートブロック。
これが例の斜塊だろう。
横にあるのは錨?
船が停泊していた、
右手には南防波堤がずーっと伸びている。
ここにもこの場所で製作されたケーソンが使われている。
船はひまわり号というらしい。
こんな船に乗って防波堤を近くから眺めてみたい。
ユーチューブに小樽港でのケーソン製作と進水の動画がアップされていた。
土木マニア必見。
今は亡きクレーンの勇姿も見ることが可能。
国土地理院地図の2008年の航空写真ではクレーンはまだ健在だ。
同じく国土地理院地図の1970年代後半の航空写真。
ケーソン製作ヤードの西側の海は当時貯木場であり、海に浮かぶ虫のようなものは丸太である。
また、小樽築港駅は巨大なヤードを持ち線路がぎっしり敷き詰められている。
Cの字型の車庫や転車台も確認できる。
とりあえず、今回はこんなところで調査終了。
土木遺産カード、いつか再配布の時を待ってますぜ。