ヒューゴー賞読もうぜ ― 第11回~第15回 ―

冬が近づき、外出も少なくなってブログのネタも尽きました。

 

というわけで、久しぶりに本の紹介。

SF小説のMVPともいえるヒューゴー賞長編部門の受賞作について。

 

1965年 第11回受賞

フリッツ・ライバー著 「放浪惑星」☆☆☆

 

放浪惑星 (創元SF文庫)

放浪惑星 (創元SF文庫)

 

 ある日地球の近くに大きな惑星が突如出現。

津波が地上を襲い、人々はパニックに。

苦難を乗り越える者、あるいは自然の驚異になすすべもない者など。

登場人物がかなり多く、シーンの切り替えも頻繁なためちょっと混乱するかもしれないが、この惑星に住む生物は魅力的。

 

1966年 第12回受賞

この年はダブル受賞であった。

 

フランク・ハーバート著 「デューン 砂の惑星」☆☆☆

 

デューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76))

デューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76))

 

 全4巻の大作。新訳も出版されているが、ハインラインファンとしては今は亡き矢野徹さんの翻訳にこだわりがある。

宇宙の異星が舞台だが、男爵や公爵など中世風の文化でかなりファンタジーな世界観。

砂漠に覆われた惑星。ここでしか取れないスパイスの利権を巡って争いが起きる。

超能力の血統や砂漠の民に夥しい造語などちょっと読むのに苦労した。

 

ロジャー・ゼラズニイ著 「わが名はコンラッド」 ☆☆☆

 

 

核戦争後の世界でギリシア神話をモチーフにしたSF新時代を代表する一作。

短く簡潔な文章でアクションは多めのハードボイルドタッチ。

不老の主人公と地球人の後見人を自称するベガ人などキャラクターも豊かでこれが長編第一作なのだから恐れ入る。

 

1967年 第13回受賞

ロバート・ハインライン著 「月は無慈悲な夜の女王」☆☆☆☆☆

  

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)

 

 

植民地となった月に住む人々が地球の圧政に耐えかねて独立戦争を引き起こす。

コンピュータ技師のマニーと史上最高のコンピュータ・マイクのコンビの大活躍に胸が躍り、悲しい別れ、さらに革命後の現実まで描き切ったハインライン渾身の一作。

SF小説 史上最も重要な作品の一冊である。

 

1968年 第14回受賞

ロジャー・ゼラズニイ 「光の王」 ☆☆☆☆

 

光の王 (ハヤカワ文庫SF)

光の王 (ハヤカワ文庫SF)

 

 偶然にも女王の次は王が受賞作。さらに言うと革命のお話でもある。

今回はヒンドゥー教や仏教がモチーフ。

ブッダが革命軍の指導者でブラフマンなどヒンドゥー教の神々と一戦交えるお話。

しかし、舞台はインドではなく遥かな未来の遠い星。ストーリーもファンタジーではなくSF度はかなり高い。

神話の知識がもっとあれば星5つつけるくらい楽しめただろう。

 

1969年 第15回

ジョン・ブラナー著 「Stand on Zanjibar」

残念ながら長い歴史を持つヒューゴー賞で受賞作品でありながら邦訳されていない珍しい作品。

2015年以前の作品ではこれ1冊だけである。

読んだことのある方はストーリー教えてください。