世界ふれあい街歩き ― 西塘 ―

目次

 

1.西塘

今日は2009年7月30日放送の世界ふれあい街歩きで紹介された中国の西塘(シータン)について調べてみた。

 

浙江省嘉興市に属する。

省の名はこの地域最大の河川である銭塘江を指している。

河口部では大潮の時に海水が逆流し、激浪が川をさかのぼる海嘯(かいしょう)という現象で知られる。流路が激しく蛇行していることから浙江、折江などの別名があった。

 

沿岸部は古くから交易で栄えた。中国随一の島嶼部でもある。

内陸は丘陵地帯で竹の産地として有名。

西塘の行政名である西塘鎮の鎮とは町を表す普通名詞。

元々は政治経済の要地に駐留する軍団を指していた。

鎮が置かれた地には戦乱を避け人々が集まるようになった。市場から都市へと発展しいつしか町のことを表す言葉となったようだ。

 

西塘は平たんな地形に川が縦横に流れ、明や清代の建物が多く保存されている。

 

 

近年はミッションインポッシブル3のロケ地にもなった。

イーサンハントが西塘の市街を疾走するシーンがあるらしい。

 

 

 

歴史ある町の中でも川沿いの通りにある「廊棚」が際立って特徴的だ。

「廊棚」は川に沿った通りを覆うアーケードで、一体的かつ連続的に長さ約1km近くにわたって続いている。)

 

石橋から水路を眺める。

 

石造りの建物が両岸に並ぶ。黒っぽい屋根の廊棚、運河をゆっくりと進む小舟。

観光客よりも地元の人々が多い歴史ある水郷の風景だ。

廊棚は明・清の時代、水はけが悪かったこの地の商店が、集客のために屋根を付けたことが始まり。特に煙雨長廊が有名だ。

 

夜はライトアップされて、昼間とは違った趣を感じられる。

 

 

 

2.西塘の歴史

西塘には唐・宋代に村が形成され、元・明代になると窯業、米穀取引、製陶業を始めとする産業の勃興により、大いに繁栄・発展した。

近代では150年前からボタンの産地で知られる。

川でとれるからす貝がボタンの原料となり、工場が建設された。その名残で、今もボタンの大製造地である中国の中でも、このエリアが6割以上を生産しているそうだ。

 

古代には呉越同舟や臥薪嘗胆の故事で有名な呉と越の交差する場所でもあった。

呉王闔閭(こうりょ)が越王勾践(こうせん)に敗れ、病死の原因となる傷を負った場所でもあった。

 

呉と越の争いを書き記した宮城谷昌光の長編「呉越春秋 湖底の城」