目次
1.旅の始まり
某月某日。会社のお盆休みがずれた関係で思いもよらぬ6連休が発生。
家庭からも夏休みをもらい、3泊4日の放浪へ出かける。
2日目は稚内市で宿泊予約をしているが、初日と3日目はいくつか目星をつけておき、進度によって決める予定。車中泊の可能性もあるだろう。
今年度で廃止になる宗谷本線の駅がいくつかあるので、この機会に旭川以北の駅を全部見て回ってしまおうという魂胆だ。本当はダムも行きたいけどダムカードは配布休止しているし・・農業用のダムはもう全部水が抜けている可能性もあるし・・・
というわけで一見寂れて痺れる、でもよく見るときちんと手入れしてくれている人が確実にいる(はずの)鉄道の駅をメインに回ることにした。マンホールカードは配布再開しているのでこれもあわせてもらってしまおう。
さて当日、朝5時頃に出発。
国道275号でひたすら北上。
札幌市内は快晴だったが、江別市に入って石狩川近くになると急に霧に包まれる。
当別町近くになるとまた快晴になったので、川霧ってやつだったのかな。
ここからはひたすらに北上。コンビニで朝飯を買い、道の駅でトイレ休憩をしながら妹背牛町・深川市を横切って旭川市に到着。
2.伊能駅
北海道第二の都市である旭川市。国道12号線を北上して台場町付近からは市街地に入り建物が並ぶ。宗谷本線へは国道12号→39号→40号というルートで行くと線路に並行するのだが、その前にちょっと寄り道。
台場町に入ってすぐの交差点を左折、そのまま石狩川を渡り森に囲まれた小さなエリアにやって来た。
ここには函館本線の伊能駅が設置されているのだ。
グーグルマップを見てもらえばお分かりの通り、他の地区に行くためには川を渡るか細い道を通るしかない場所。一応住所は江丹別町春日だが、かつての江丹別村中心部や嵐山とも離れた場所である。
伊能駅はそんな忘れられたような場所にひっそりとある駅。
錆びた貨車駅。
今回の旅を象徴するようなスタートである。
同じくサビサビの階段を上ってホームに向かう。
快晴の空と全く対照的な色合いである。
板張りのホーム。距離はかなり長い。
跨線橋も錆びてる。
いつか抜け落ちないか不安。
3.伊能駅の歴史
1898年 空知太駅ー旭川駅開通に伴い信号停車場として開業。
1900年 駅に昇格。
1969年 函館本線の切替えと同時に貨物・荷物取扱い廃止、ホーム移転。隣の神居古潭駅が廃駅となる。
1985年 駅舎改築、貨車駅となる。
当初は2両設置されていたが2014年1両撤去。
近隣に旭川北斗商業高校があったため、通学利用者が多かったが2014年閉校。
駅利用者もゼロに近くなってしまった。
国土地理院地図の1970年代後半の航空写真。
ホームの横に旧線があり、その横に旧駅舎らしき建物がある。
この頃はまだ石狩川に架かる伊能大橋の建設前。1955年頃まで渡し船があったようだが旭川市と江丹別村の合併、江神橋設置に伴い渡し船が廃止。春日地区は孤立に近い集落となったようだ。1983年にやっと伊能大橋が竣工し国道12号線まで簡単に行けるようになった。
4.もう1つの線路
さてこの伊能駅の線路横にはホームに接していないもう1つの線路がある。
草むらの中に廃線跡のようなレールが伸びている。
踏切もきちんと作られている。
ここは旧線ではなく、保線・電気作業の訓練用に作られた線路とのこと。
ストリートビューの画像では作業中の様子が撮影されている。
すごい偶然?それともかなりの頻度で使われている設備なのだろうか。
ちなみにこの道路は1969年に切り替えられた旧線。
向かって右側の草むらの中に見えるブロックのようなものは旧ホームである。
旧線はサイクリングロードに転用されたが、落石やクマ出没などで通行禁止部分も多いそうだ。