夏のドライブ ― ピリカ旧石器文化館 ―

目次

 

 

1.ピリカ旧石器文化

ダムを満喫した後は少し北にあるピリカ旧石器文化館へGO

 

美利河ダムの工事にあたり、築堤の材料となる粘土を探し、近隣で地質調査が行われた。その際に石器が発見され、遺跡の発見につながった。

発掘調査は1983・84年に北海道埋蔵文化財センターによって1585㎡にわたり行われた。総数11万点に及ぶ旧石器時代の石器が発掘され、貴重な遺跡として保存されることとなった。その後の調査により一帯の20万㎡が遺跡に認定、数度にわたり発掘調査が行われている。

 

旧石器文化館は2003年にオープン。

2018年にリニューアル。重要文化財の展示や体験コーナーなどを備え、こじんまりとしつつも綺麗でわかりやすい博物館だった。

 

2.メノウ

明治の開拓後、美利河地区はメノウの採掘も重要な産業の一つだった。

館内ではメノウについての展示も充実。

メノウは玉髄の一種に分類される。

玉髄とは石英の細かい結晶が網目状に集まり、緻密に固まった鉱物のこと。

メノウは内部に特徴的な縞模様が形成されている。

 

ピリカ遺跡から出土したメノウの石器には焼けて変色した後が見られる。

加工のために加熱した痕跡と考えられている。

 

旧石器時代、メノウは尖頭器や彫器に使われていたようだ。

縄文時代はあまり好んで使われず、弥生時代には石錐が主な用途だったとされる。

 

3.ピリカ遺跡

ピリカダム周囲の地形と遺跡の位置

 

遺跡の想像図。川に近い高台に住居を構えていたようだ。

定住ではなく季節に応じて食料を求めて旅を繰り返していたと思われる。

現在も国縫川で採取できる頁岩の石器が遺跡から出土していることから、付近で材料を確保していたようだ。

 

4.石器について

北海道における石器時代の石材概要図。

ピリカ遺跡から出土した石器は85%が頁岩、13%がメノウ、残りが黒曜石。

道南で発掘された遺跡から出土した石器はほとんどが頁岩。

対照的に道央以北・以東はほとんどが黒曜石の石器である。

頁岩は珪藻プランクトンを主成分とする珪藻土が地下で岩石化したもの。

何層にもわたって堆積し、ページをめくるように薄くはがれやすいので頁岩と名付けられた。

 

黒曜石は主に流紋岩からなる。マグマが噴出後急激に冷やされて形成したもの。

ガラス質で割ると鋭い断面ができやすいため石器として重宝された。

 

ピリカ遺跡から出土した石器の一部。用途ごとに分類されていた。

 

上の写真は槍先などに用いられた尖頭器や木や骨角を削るのに使った彫器。

この他にも細石刃や掻器、削器などが展示されていた。

館内では無料のクイズラリーが行われ、参加するとお土産をもらえた。

間違っていたところは学芸員さんが展示を見ながら解説してくれるというサービス心溢れるイベントだった。

というわけで、メノウが入った小瓶をもらって外へ出た。