目次
1.アポイ岳ジオパーク
西様似駅のある西町の集落から国道に戻る。
様似駅は以前に行ったことがあるので今回は行かず。
日高本線の廃線区域巡りは終了したが、もう少し寄り道してから帰ることに。
様似町の中心部を通過して。
ポロサヌシベツ川にかかる小さな橋を越えて
左折してアポイ岳方面へ向かう。
アポイ岳周辺を含む様似町全域はユネスコの認定するジオパークに登録されている。
ジオパークとは、地球科学的意義のあるサイトや景観が保護、教育、持続可能な開発のすべてを含んだ総合的な考え方によって管理された、1つにまとまったエリアを指す。
中心となるアポイ岳は地下深くから現れた「かんらん岩」によって形作られた。
1300万年前のプレートの衝突によってできた日高山脈。北海道の背骨のように南北に貫く山脈の中でも、地殻より下にあるマントルが地上へ突き上げられていく際に形成される橄欖岩(かんらんがん)が露出しているのはここだけ。
世界的にも大変珍しいことから2015年にジオパークとして認定された。
2.アポイ岳ジオパークビジターセンター
アポイ岳に向けて車を走らせると、登山道やキャンプ場、温泉旅館などが整備されている。その中にあるビジターセンターを訪問。
日高山脈をバックにきれいに管理された芝生の中に建てられたビジターセンター。
アポイ岳ジオパークは数か所の特徴的なエリアに分けられている。
登山を楽しむ途中で希少な植物を愛でてみよう。
中に入ると博物館のような展示資料にお土産販売、子供向け展示などが並んでいる。
3.アポイ岳の高山植物
最初は高山植物の展示から。
通常、高山の植生はある一定のエリアで森林限界に到達し、その後は眺望が開けるハイマツが分布する。しかしアポイ岳は森林限界に達しハイマツのエリアとなるまでは普通と一緒だが、頂上近くになるとダケカンバという樹木が密集する。
この逆転の理由は未だ謎とされている。
これによって頂上付近は見晴らしがきかないそうだ。
アポイ岳の標高は810mと低山の範疇に入る。
にも関わらず高山植物が生息しているのは3つの理由があるらしい。
1.アポイ岳を形成する橄欖岩は植物の生育を阻害する成分が多く、土壌も風雨で移動しやすいため栄養に乏しい。
2.夏は山が海霧で覆われ、冬は降雪量が少なく強風にさらされ年間を通して低温の傾向が強い。
3.アポイ岳は海進の影響を受けず陸地であり続けているため、植物が絶滅を逃れた。
氷河期に大陸と陸続きであった時代、北方から移動してきた植物たちがその後の温暖化から逃れた地がアポイ岳だった。橄欖岩の特殊な土壌に適応し独自の進化を遂げた草花が固有種として今も生き延びている。
4.様似町の歴史
つづいては人と様似の歴史。
エンルム岬は天然の良港として重要な停泊地であった。
江戸時代後期に幕府の施設である会所が設置され、より発展していく。
アポイ岳が太平洋に落ち込み断崖絶壁の続くエリアは難所としておそれられた。
あまりに危険な海岸線の道に対し、国防の観点からも内陸に道路が開削された。
様似山道と名付けられたこの道、明治以降に海岸線の道が再整備されるにつれて忘れられていったが、近年再評価されフットパスコースとして生まれ変わった。
一方、難所だった日高耶馬渓は地層の露頭や明治時代のトンネルが鑑賞できるジオパークのスポットになった。