日高廃駅巡り ― 馬事資料館と先人カード ―

目次

 

1.馬事資料館

郷土博物館の敷地内にはもう一つ建物がある。

次はそっちへ行ってみる。

 

 

こじんまりした建物は馬事資料館。

その名の通り馬に関わる資料を展示している。

 

まずは戦後初のクラシック三冠馬皐月賞東京優駿菊花賞シンザン号。

浦河町の牧場で生まれ育ち、天皇賞有馬記念でも優勝し史上初の五冠馬と称された。

引退後は浦河町に戻り種牡馬として余生を送る。

1996年35歳で大往生。サラブレッド、さらには軽種馬の日本最長寿記録となった。

 

シンザンの父ヒンドスタン号。イギリス生まれで日本初のシンジケート組織による輸入で日本へやってきた。

シンザン以外にも多くの重賞馬を生み出した。

 

サラブレッドについて。

サラブレッドは18世紀にイギリスで品集改良されて生み出された種。

アラブ種・ハンター(イギリスの品種)をかけ合わせて改良され、父祖を遡ると3頭の馬にたどり着くそうだ。

日本ではおよそ9割が北海道で生産されている。中でも日高が最大の馬産地だ。

 

日本では戦いなどで騎馬の風習はあったが、馬車は普及していなかった。

江戸時代末期に荷物輸送、明治になって乗合馬車が普及し日本全国に広まる。

北海道では昭和30年ころまで植民軌道として馬車鉄道が用いられていた地域もあった。

 

皇族や貴族の迎賓に使われていた立派な馬車。

 

扉は外からしか開けられなかったらしい。

 

全国のサラブレッド生産の7割を占めるともいう日高地方。

その中心地である浦河町明治40年の日高種馬牧場開設から軍馬や農耕馬を生産していた。昭和初期から軽種馬の育成に転換していく。

 

時代は遡って江戸時代にも馬産は行われていた。

この頃は元浦川(現在の荻伏)周辺に広大な牧場があったらしい。

 

馬の平均寿命は約25年。日本の在来馬は朝鮮半島を通じてやってきた蒙古種であると考えられている。

 

馬を守り、菩提を弔う馬頭観音。観と音の間に文字が書かれているようだが判別できず。世には見えないのだが・・・

本来は無知・煩悩を排除する仏様だそうだ。

 

庭に赤い丸ポストが立っていた。現役だよね・・

 

2.先人カード

博物館では先人カードを配布中。

浦河の開拓に尽力した澤茂吉氏。

 

赤心社はキリスト教徒が開拓のために設立した組織。

神戸で結成し、現在の浦河町西舎に入植。

ピューリタンに倣って村の中心に教会を建てた。

澤茂吉は赤心社の副社長で荻伏村に入植。

赤心社は事業を拡大し、現在も赤心株式会社として存続。

開拓開始数年後に不作などで資金繰りが悪化した際は、開拓の模範企業を倒産させるわけにはいかないと官からの援助もあったという。

澤は赤心社の経営以外に馬産の導入など荻伏村のみならず日高地方の開拓にも貢献し、道議会議員にも選出された。